• TSRデータインサイト

「新型コロナウイルス」関連破たん状況

405件
(倒産340件、弁護士一任・準備中65件)

  •             ※企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
  •             ※原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計。
  •             ※東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

 8月11日午前11時までに判明した、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)は、2月からの累計が全国で405件(倒産340件、弁護士一任・準備中65件)に達した。
 2月2件、3月22件から、4月は84件、5月も83件と急増し、6月は単月最多の103件に達した。7月は、ややペースが落ち着いたが80件と、4月や5月並みの高水準が続いている。
 8月6日には累計400件に達し、和歌山県と高知県の2県を除く45都道府県で発生している。
 なお、集計対象外の負債1,000万円未満の小・零細企業の経営破たんは、累計12件が判明。
 政府や取引金融機関などの各種支援に依存した小・零細企業・商店の休廃業や破たんが増加する可能性が高まっている。特に都市部を中心に感染者数が拡大しており、飲食業などサービス業の影響が深刻な状況だ。新型コロナ破たんも飲食業が62件(構成比15.3%)と最多を占め、時短営業などの影響が長引けば、倒産増に拍車をかける懸念が強まっている。

7月80件、8月は11日までに31件発生、高水準が続く

 緊急事態宣言の解除後、各地の裁判所の業務が再開し、倒産の手続きも徐々に進んだ。6月は単月最多の103件と急増したが、7月も緊急事態宣言中の5月と同水準で推移。8月も11日11時までに31件発生しており、ペースは鈍っていない。
 また、集計対象外の負債1,000万円未満も12件判明するなど小・零細企業の破たんも目立っている。

破たん件数 最多は東京 倒産比率もワースト

 都道府県別では和歌山県、高知県の2県を除く45都道府県で発生している。  このうち、東京都が105件に達し、件数では突出。次いで、大阪府39件、北海道22件、愛知県20件と続き、10件以上の発生は10都道府県。
 都道府県別で「新型コロナ関連破たん」の発生率を算出した。経営破たん比率のワーストは、東京都(105件)の0.0251%。以下、福島県(11件)が0.0187%、北海道(22件)が0.01552%の順。
 破たんが発生していない和歌山県と高知県を除いて、発生率が最も低かったのは茨城県(2件)の0.0025%だった。

  • 企業数は「平成28年経済センサー活動調査」を参照

コロナ関連倒産1

業種別 飲食業が最多の62件

 業種別では、緊急事態宣言の発令で来店客の減少、休業要請などが影響した飲食業が62件で最多だった。
 次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が49件、インバウンド需要消失や旅行、出張の自粛が影響したホテル・旅館の宿泊業が40件で続く。
 このほか、飲食店向け売上の急減、イベント休止や小・中学校の休校などの影響を受けた食品製造が23件、食品卸売も22件発生している。
 建設業も21件発生した。新築工事が新型コロナの影響でキャンセルとなり、モデルハウスの集客も落ち込み、破たんしたケースもあった。

コロナ関連倒産2

消滅型の破産が約9割、再建の難しさを露呈

 2月から8月11日午前11時までに「新型コロナ」関連で倒産した340件の形態別では、最多は破産の294件(構成比86.4%)だった。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージを受け、回復の見込みが立たずに脱落したケースが大半。再建型の選択が難しい状況が続いている。
 次いで、民事再生法の30件(構成比8.8%)で、(株)ホワイト・ベアーファミリー(大阪、負債278億円)、WBFホテル&リゾーツ(株)(大阪、同160億円)、(株)レナウン(東京、同138億7,900万円)など、負債額が大きい中堅から大企業で活用されるケースが多い。
 法的倒産が9割以上(同95.2%)を占め、私的倒産は、銀行取引停止処分が16件(同4.7%)だった。

10人未満の小規模企業の破たんが約6割 従業員被害者の総数は約1万人

 経営破たんした企業のうち、従業員数が判明した367件では、従業員5人未満が145件(構成比39.5%)と、約4割を占めた。次いで、5人以上10人未満が73件(構成比19.8%)と続き、10人未満が218件(同59.4%)で、約6割を占めた。
 事業規模が小さい企業ほど、新型コロナによる影響が大きい傾向となっている。
 このほか、10人以上20人未満が61件(同16.6%)、20人以上50人未満が51件(同13.8%)、50人以上300人未満が32件(同8.7%)だった。
 300人以上は5件(同1.3%)で、従業員数の最多は接骨院経営の(株)MJG(東京都、従業員1,000人、破産)だった。
 また、367件の従業員数の合計は9,746人と、約1万人に迫った。

コロナ関連倒産3

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ