• TSRデータインサイト

「東日本大震災」関連倒産(7月度速報値)

 2020年7月の「東日本大震災」関連倒産は4件(速報値:7月31日現在)で、2カ月連続で前年同月(3件)を上回った。
 震災発生から9年3カ月を経た2020年5月に、震災関連倒産が初めて発生せず収束傾向をみせた。しかし、6月以降は「新型コロナウイルス」の感染拡大に影響を受けた破たんも発生しており、震災被害から回復途上にある企業への影響が懸念される。

震災1

7月の倒産事例

 (株)金蘭荘はなやま(TSR企業コード:153103566、法人番号:2380001019826、郡山市)は、1938年創業の(株)ホテル金蘭荘の温泉旅館事業を2010年8月に会社分割で引き継ぎ、事業をスタートさせた。しかし、直後に東日本大震災が発生。原発事故の風評被害から客足が伸び悩み、2015年12月期は売上高1億9,188万円と2億円を割り込んだ。
 その後も減収基調が続き、2020年3月には税金滞納により不動産が差押えられる事態も発生。こうしたなか、「新型コロナウイルス」の影響で宿泊客が減少し、休業を余儀なくされ、先行き業績回復の見通しが立たないことから、事業継続を断念した。負債総額は約1億3,800万円。

震災2

 累計件数1,962件のうち、都道府県別で最も多かったのは東京の574件。次いで、宮城193件、北海道と岩手、福島が各85件、神奈川と茨城が各79件、千葉77件、福岡71件、栃木62件、群馬61件、静岡50件、山形と大阪が各48件、埼玉46件と続く。東北6県の倒産件数は468件(構成比23.8%)だった。
 産業別では、最も多かったのが宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の524件(構成比26.
6%)。次いで、製造業459件(同23.3%)、卸売業355件(同18.0%)、建設業224件(同11.4%)、小売業186件(同9.4%)、運輸業81件、情報通信業65件と続く。
 被害型で分類すると、「間接型」1,731件(構成比88.2%)に対して、「直接型」が231件(同11.7%)だった。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ