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良品計画の米国連結子会社MUJI U.S.Aがチャプター11を申請

負債総額は6400万USドル

 東証1部上場の(株)良品計画(TSR企業コード:292845502、豊島区)は7月10日、海外連結子会社のMUJI U.S.A.(米国ニューヨーク州)が7月9日、日本の民事再生法にあたる米国連邦倒産法第11章(チャプター11)の適用を申請したことを明らかにした。
 負債総額は6400万USドル(日本円換算68億3700万円、2020年3月31日現在)。うち、5300万USドルは良品計画に対する債務で、MUJI U.S.A.は事業をこれまで通り継続する。

高コスト構造でコロナ以前から継続的に損失が発生していた

 MUJI U.S.A.は、2006年に米国で「無印良品」事業を開始し、現在18店舗を展開していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月17日以降は米国の全店舗の営業を停止していた。
 賃料など高コスト構造で継続的に損失が発生していたため、新型コロナの発生以前から顧客層拡大による売上増への取り組みや賃料の改定交渉など、事業再建に取り組んでいた。
 だが、新型コロナ感染拡大に伴う店舗の営業停止で売上が大幅減少、採算も急速に悪化していた。この先も不透明な市場環境が継続する見通しのため、MUJI U.S.A.は取締役会でチャプター11 の申請を決議した。

良品計画はMUJI USAに対し、貸付金46億9400万円、その他債権11億1200万円

 今後、MUJI U.S.A.は、チャプター11の手続きに従い、収益のボトルネックとなっていた不採算店の閉鎖や賃料の減額交渉など、事業構造の抜本的な転換を図っていく予定。
 良品計画はMUJI USAに対し、貸付金46億9400万円、その他債権11億1200万円の債権があり、業績に与える影響については「再生手続の進展を注視し、開示すべき事由が発生した場合、速やかに開示する」としている。

無印良品新宿三丁目

無印良品の店舗(7月10日、都内)

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