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「いきなり!ステーキ」運営のペッパーFS、米国子会社が破産申請

新型コロナの影響で売上が減少、営業再開の目途立たず

  「いきなり!ステーキ」などを展開する(株)ペッパーフードサービス(TSR企業コード: 292855524、墨田区、東証1部、ペッパーFS)は、連結子会社のKuni’s Corporation(本社米国、以下KC社)が、米国連邦倒産法第7章(日本の破産法に該当)に基づく破産を申請したことを7月3日、発表した。

 負債総額は約3000万ドル(予定、日本円約32億円)。

 KC社は、米国で「いきなり!ステーキ」を2018年までに11店舗展開していた。その後、業績不振のため7店舗を閉鎖し、残る4店舗はペッパーランチ事業に業態転換を進めていた。だが、新型コロナの影響で売上が減少し、3月18日から全店休業していたが、営業再開の目途が立たず、損失解消の見通しも立たないため、破産を選択した。

 ペッパーFSは、今後の見通しを「約30億円の債権をKC社に対して有しているが、すでに2019年12月期以前の業績に反映済みで、現時点において重要な損失の追加計上は見込まれていない」としている。

 同日、ペッパーFSは114店舗(予定)の閉店を決議したことを発表した。同時に、約200名の希望退職者の募集を7月6日から開始する。また、2020年12月期第1四半期の決算発表日を7月31日(金)とし、同時に第2四半期も発表する予定。

 ペッパーFSが、分離した(株)JP(本社・墨田区)の手がけるペッパーランチ事業の譲渡価格は85億円だが、一定の売上高目標を達成することを条件として最大102億円に増額し、J-STAR(株)(TSR企業コード:296639117、千代田区)の関連会社に事業譲渡する。ペッパーFSは、「(事業譲渡で)財務内容は大幅な改善が可能となる見通し。資金繰りについても、当面の間、問題なく対応が完了」としている。

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