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2020年上半期(1-6月)上場企業「早期・希望退職」実施状況

 2020年上半期(1-6月)に早期・希望退職者募集を実施した上場企業は41社(延べ43社)で、すでに2019年1年間の件数(35社)を6社上回った。2019年同期比(18社)では2.2倍増と急増している。
 上半期(1-6月)で40社は、リーマン・ショック後の2010年同期(66社)以来、10年ぶり。
 41社のうち、新型コロナウイルス感染拡大の影響をあげ、早期・希望退職者を募集や実施した企業は、小売や旅行関連などで8社にのぼった。

  • 本調査は、希望・早期退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出した。実施が翌年以降の企業は除く。原則、『会社情報に関する適時開示資料』(2020年6月30日公表分まで)に基づく。

新型コロナの影響色濃く 業種別最多は繊維・アパレル。外食2社が新たに開示

 41社の業種別は、アパレル・繊維製品が6社で最多。次いで、昨秋以降の消費増税、暖冬、新型コロナの三重苦が続く小売、新型コロナや米中貿易摩擦が影響した輸送用機器、電気機器が各4社だった。
 繊維・アパレルは直近決算で4社が最終赤字、1社で減収減益だった。6月には外食2社が新たに募集を開示し、新型コロナ感染拡大に伴う外出自粛、消費落ち込みによる雇用への影響が顕在化してきた。

募集人数、最多はレオパレス21の1,000人 業績不振企業による中・小規模募集が集中

 募集人数は、最多がレオパレス21の1,000人。次いで、ファミリーマート800人(応募1,025人)、ノーリツ600人(同789人)が続く。募集人数が判明した33社の対象人数は合計7,192人にのぼる。
 2019年上半期(1-6月)に1,000人以上の大型募集は3社だったが、2020年の1,000人以上の大型募集は1社で、募集人数300人以下が多かった。

実施企業の赤字率、前年比15.4ポイント増

 2019年は黒字企業の募集が目立ったが、一転して2020年は赤字企業の募集が急増した。2019年は、6月末までに募集を実施した18社のうち、直近決算の赤字は6社(構成比33.3%)だった。だが、2020年は同期間に募集した41社のうち、約半数の20社(同48.7%)が赤字だった。
 赤字企業の早期・希望退職者の募集・実施は、本決算の発表後に集中する傾向があり、下期以降はさらに増加する可能性が高い。2019年8月に募集を発表(後に撤回)したレナウン(当時、東証1部)は2020年に民事再生開始決定を受けた。また、2019年10月に募集を発表したサンデンホールディングス(東証1部)は関連4社と同時に、2020年6月に事業再生ADRを申請し、受理された。
 2020年の上場企業の業績は悪化しており、東京商工リサーチの調査で7月1日までに3月期決算を発表した2,383社のうち、減収減益が896社(同37.6%)、増収増益が701社(同29.4%)で、減収減益が8.2ポイント上回っている。今後も、新型コロナの影響が長引くとみられ、黒字リストラの企業に加え、業績不振の赤字や減収減益の企業が押し上げる形で、早期・希望退職募集が増えるとみられる。

希望・早期退職者募集状況

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