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2019年「合同会社」の新設法人調査

 2019年(1-12月)に全国で設立された法人(以下、新設法人)は13万1,292社(前年比1.7%増)で、2年ぶりに前年を上回った。法人格では、トップが「株式会社」の8万8,724社(同0.9%増)、次いで、「合同会社」が3万424社(同5.5%増)だった。初めて合同会社が3万社台に乗せ、2019年の新設法人はおよそ4社に1社(構成比23.1%)が「合同会社」を選択した。
「合同会社」は、2006年5月施行の会社法で「有限会社」の廃止で新たに作られた。設立手続きが株式会社など他の法人格に比べて簡単で、費用も安く、設立までの期間も短くて済む。
また、株主総会や決算公告の必要がなく、経営の意思決定も迅速にできることが「合同会社」の特徴になっている。
このため、太陽光発電所や投資不動産ごとに「合同会社」を設立するケースも目立つ。会社の経営と所有が一体化しており、アップルの日本法人「Apple Japan」、「アマゾンジャパン」など、GAFAなど大手外資系企業も「合同会社」となっている。
歴史が浅く信用の低さが「合同会社」の課題だったが、着実に浸透し存在感を増している。

  • ※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象370万社)から「合同会社」を抽出し、2019年1-12月に  設立された新設法人を分析した。

新設法人合同会社(推移)

新設法人のおよそ4社に1社が合同会社

 2019年の新設法人のうち、「合同会社」は3万424社で、前年より1,575社増加した。増加率は鈍化したとはいえ主要3法人格と比較すると、「合同会社」の増加率(前年比5.5%増)は高水準を持続している。法人格の構成比は株式会社が低下し、合同会社は23.2%まで上昇した。

産業別 小売業やサービス業他が続伸

 「合同会社」の産業別では、10産業のうち、7産業が前年より増加した。減少したのは、3産業だった。不動産業は、不動産投資の節税目的などで対象物件を「合同会社」で法人化する動きが目立ったが、不動産融資の不正事件と審査厳格化などで2年連続して減少した。
構成比は、サービス業他が構成比43.8%(1万3,348社)でトップだった。小売業も同9.0% (2,752社)で伸長し、身軽で消費者に近い業種の小規模事業者が法人化する際、「合同会社」を選択しているようだ。

新設法人合同会社(産業別)

業種別 不動産業が急減、学術研究,専門・技術サービス業が伸長

 「合同会社」の業種別は、不動産が4,764社(構成比15.6%)でトップ。投資用不動産の不正な融資問題の発覚以降、金融機関の融資審査が厳格化し、前年から20.0%減と法人設立は大幅に減少した。
次いで、経営コンサルタントなど学術研究,専門・技術サービス業が4,553社(同14.9%)で不動産業に肉薄。ソフトウェア業など情報サービス・制作業が2,965社(同9.7%)、飲食業2,121社(同6.9%)など。

都道府県別 東京は一転減少、増加率トップは山梨県

 都道府県別では、最多は東京都の1万86社(前年比0.1%減、構成比33.1%)と唯一1万社を上回ったが、減少に転じた。次いで、神奈川県の2,398社(同12.5%増、同7.8%)、大阪府の2,236社(同18.2%増、同7.3%)と大都市圏が上位を占めた。
増加率トップは、山梨県の前年比62.5%増。次いで、山形県の同49.3%増、島根県の同46.3%増と続く。一方、減少率では、徳島県の同14.7%減が最大で、鳥取県が同11.7%減、香川県が同10.6%減の順。
地区別では、四国を除く8地区で増加した。四国は2018年が増加率トップだったが、その反動が出た。増加率は、近畿(4,081社)で前年比15.0%増。次いで、中国(967社)が同11.4%増、北陸(373社)が同10.0%増と続く。

 2019年の新設法人数で、「合同会社」が初めて3万社を超えた。早く、簡単に、安く法人化ができる「合同会社」は、節税も可能で活用が増えている。
政府は、欧米並みの開業率10%を目指し、近年は創業支援など起業家への対策を講じている。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「持続化給付金」は、今年設立の企業も給付対象にするなど、新設法人への配慮もうかがえる。
「合同会社」の利点は、設立後の経営の自由度の高さにある。株主と経営が分離した企業が多い株式会社は、取締役の選任や重要事項を株主総会に諮ることが必要だ。また、株式配当などに一定のルールが定められている。一方、「合同会社」は株主総会が必要なく、定款自治が可能で、経営の自由度が高い。また、決算公告も必要がなく、利益分配も柔軟性が高く、大企業も外資系を中心に増えている。
個人企業で実績を重ね、合同会社で自由度の高い経営で成長し、新規上場を目指す企業も出現するだろう。しかし、東京都では年間1万社の合同会社が生まれる一方、100件に満たない県も多い。そういう意味では、「合同会社」は地域経済のリトマス紙かもしれない。
新型コロナウイルス感染拡大で経済活動は疲弊しており、「合同会社」は経済活性化のけん引役としての位置付けが大きくなっている。

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