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4期連続赤字見通しの大塚家具、大塚久美子社長は続投へ

 (株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、大塚久美子社長、JASDAQ)は、2021年4月期も大塚久美子社長が続投する方向で準備を進めていることがわかった。
 2月20日に発表した2020年4月期(16カ月変則決算)の業績予想では、売上高368億4,500万円、営業赤字66億8,500万円、当期純損失66億600万円としていた。
 発表後、「新型コロナウイルス」感染拡大で、一部店舗の休業や時短などを実施しており、下方修正を出さない範囲で売上と利益は落ち込んだとみられる。注目の2020年4月期の決算は6月19日に発表する予定。
 厳しい業績が続き、大塚社長の進退も注目されている。2019年12月、(株)ヤマダ電機(TSR企業コード:270114270、三嶋恒夫社長、東証1部)と大塚家具は資本提携し、連結子会社となった。資本提携の会見でヤマダ電機の山田昇会長は、「(ヤマダ電機は)結果主義。チャンスを与え、達成のために全力で支援していく」とコメントしていた。
 大塚家具の2020年4月期は4期連続の営業赤字、営業キャッシュフローのマイナス見通しで、7月末の有価証券報告書を提出後、2年間の上場廃止猶予期間に入る見込みだ。
 営業利益の黒字化が至上命題だが、新型コロナで期初の5月は売上が落ち込み、厳しいスタートとなったとみられる。
 大塚家具は、ヤマダ電機とのコラボを強めている。ヤマダ電機の店舗で、大塚家具の家具を販売し、今年3月には大塚家具がヤマダ電機から仕入れた家電販売を開始した。家具と家電のトータルな提案で売上増を狙っている。また、新型コロナ感染拡大前に準備していた「バーチャルショールーム」などをスタートした。
 強化するEC(ネット通販)売上は、4月が前年同月比34.5%増と伸ばし、テレワークで使うワークチェアが好調という。2020年2月に棚卸資産の評価損を計上し、売上回復が利益に直結する土台はできている。新CMを6月16日から開始し、19日折込チラシも投入する。大塚社長は黒字化に向けたチャンスの1年だが、結果が伴わなければ厳しい答えが待ち受けている。

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