• TSRデータインサイト

東京都認可のパチンコ店団体が苦渋の決断 休業で都と足並み揃わず、執行部総辞職へ

 都内のパチンコ770店が所属する都認可団体の東京都遊技業協同組合(都遊協)は5月25日、緊急事態宣言の解除を受けて店舗休業を継続するかは各店舗の経営判断に委ねた。東京商工リサーチ(TSR)の取材に、都遊協の担当者が明らかにした。
 「組合員の9割が休業要請に従った。再開について都に要望を出したが、回答はなかった」としたうえで、「これ以上、休業を継続すると事業継続が難しくなる。都遊協として(加盟店舗への)休業要請を止め、再開は各店舗に委ねることを決めた」と都遊協の担当者は経緯を説明した。
 都遊協によれば、「十分な補償もなく、まだ東京都感染拡大防止協力金も届かず、すでに1カ月半の休業を継続している。さらに1カ月が見込まれる休業延長には耐えられず、到底受け入れられない」と業界の窮状を訴え、都の対応に疑問を投げかけた。
 都遊協は、緊急事態宣言解除後の1都3県のパチンコ店の再開がバラバラになっていることも指摘した。埼玉県は感染対策を条件に、パチンコ店の休業要請をすでに解除している。神奈川県も27日、千葉県も6月1日にそれぞれ解除する予定で、東京都だけが解除の見通しがたっていない。

 一方、都遊協は都の協力要請に応じることができないため、理事長や副理事長など執行部が総辞職する。都遊協の担当者は、「営業を再開する場合、感染拡大予防のガイドラインを遵守するよう」に加盟店舗に強く求めている。
 東京都は、新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第2項に基づく施設の使用停止を要請したパチンコ店名を公表していたが、今回の緊急事態宣言の解除に伴い掲載情報は削除されている。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年5月27日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ