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「新型コロナウイルス」関連倒産状況【5月13日現在】

 5月13日午前11時までに判明した「新型コロナウイルス」関連の経営破たんは、全国で141件(倒産は95件、弁護士一任や法的準備中は46件)に達した。
 「新型コロナ」関連の経営破たんは、2月2件、3月23件だったが、4月は84件に急増。5月も1日5件、7日6件、8日8件、11日4件、12日7件、13日2件と、100件を超える可能性も出ている。
 都道府県別では、青森県、岩手県、福井県、和歌山県、鳥取県、徳島県、高知県、長崎県、大分県を除く、38都道府県に拡大している。
 発生件数の最多は、東京都の31件(倒産26件、準備中5件)。以下、北海道13件(同13件、同ゼロ)、大阪府12件(同5件、同7件)で、上位3都道府が10件以上。以下、静岡県7件、新潟県と兵庫県、福岡県が各6件と続き、緊急事態宣言の「特定警戒都道府県」と隣接県で目立つ。
 業種別では、宿泊業が30件(同19件、同11件)で最多。温泉旅館やホテルを中心に、インバウンド消失に加え、国内旅行や出張自粛などで相次ぐキャンセルが痛手となった。
 次いで、外出自粛による来店客の減少、緊急事態宣言に伴う休業要請や臨時休業が広がる飲食業が21件(同13件、同8件)、アパレル関連小売業が13件(同6件、同7件)など、BtoC関連の業種が上位に並ぶ。
 経営破たんの業種は多岐にわたる。百貨店などの臨時休業で売上が落ち込んだ豆腐・油揚げメーカー、小・中学校の一斉休校の煽りを受けた食材販売会社、海外からの資材仕入に支障が生じた木材業者や建設会社、イベント中止と中国からの商品仕入れが困難になった遊具販売会社、自動車メーカーの操業休止で売上が落ち込んだ自動車内装品メーカー、外出自粛で教室閉鎖を余儀なくされた音楽教室の運営会社、感染拡大を恐れて葬儀が減少した葬儀屋など、想定以上に幅広い業種に影響が及んでいる。
 経営破たんした企業は、人手不足や2019年10月の消費増税などで、もともと業績不振から資金繰りに余裕が乏しい企業が多い。そこに新型コロナ感染拡大で一段と業績が落ち込み、経営に行き詰まった状況が透けて見える。現在、特定警戒以外の34県と特定警戒都道府県の一部で緊急事態宣言の前倒し解除が検討されている。ただ、前年同月の売上を割り込んだ企業・商店は、2月が67.7%、3月が75.0%、4月が83.9%と、月を追うごとに増えている。事業継続を目指す企業・商店は売上が落ち込む一方で、人件費、家賃、水道光熱費等などの固定費支払いが続く。休業協力金や支援金、緊急融資、雇用調整助成金が早く手元に届かないと息切れが迫っている。
 さらに倒産だけでなく、事業継続を断念し廃業する企業や商店の増加も現実味を帯びている。


新型コロナウイルス関連倒産推移

【地区別】

 経営破たんは、4月に84件と急増、5月に入っても勢いは衰えず、2月から5月13日までの累計は141件に達した。
 地区別では、全9地区で経営破たんが発生。最多は関東の47件(倒産35件、準備中12件)で、唯一、40件台と突出している。宿泊業(同5件、同1件)、飲食業(同6件、同1件)、アパレル関連小売業(同3件、同2件)などが目立つ。
 次いで、近畿23件(同10件、同13件)、中部19件(同13件、同6件)、北海道(同13件、同ゼロ)と九州(同9件、同4件)が各13件と続く。
 このほか、東北と中国は各9件、北陸と四国は4件で、1桁にとどまっている。
 大都市圏の東京、愛知、大阪など大都市圏だけでなく、北海道も経営破たんの多さが際立つ。

【都道府県別】

 都道府県別では、最多が東京都31件(倒産26件、準備中5件)。以下、北海道13件(同13件、同ゼロ)、大阪府12件(同5件、同7件)、静岡県7件(同6件、同1件)、新潟県、兵庫県、福岡県が各6件と続く。
 特定警戒都道府県と、隣接県で、経営破たんが目立つ。

新型コロナウイルス関連倒産 都道府県別地図

【産業別】宿泊業・飲食業を含む「サービス業他」が半数を占める

 産業別では、サービス業他が75件(倒産51件、準備中24件)で最も多い。インバウンド需要の消失や外出自粛、臨時休業などの影響を受けた宿泊業30件(同19件、同11件)、飲食業21件(同13件、同8件)が件数を押し上げている。
 このほか、飲食料品10件(同8件、同2件)などの製造業が19件(同14件、同5件)、アパレル関連13件(同6件、同7件)などの小売業が17件(同9件、同8件)、飲食料品卸売業5件(同3件、同2件)やアパレル関連卸売業5件(同4件、同1件)を含む卸売業が18件など、個人消費に関連する産業・業種などで経営破たんの多さが目立つ。

新型コロナウイルス関連倒産 産業別

【負債額別】2億円以上3億円未満が24件で最多

 負債額が判明する119件では、「2億円以上3億円未満」が24件(倒産20件、準備中4件)で最多。次いで、「10億円以上」が23件(同21件、同2件)、「1億円以上2億円未満」が20件(同13件、同7件)と続く。
 全国の企業倒産では、「1億円未満」が7割を占める。しかし、「新型コロナウイルス」関連の経営破たんは、「1億円未満」は2割(構成比21.0%)にとどまる。ホテルや旅館や製造業など設備産業や過剰債務を抱えたなか企業の経営破たんが多いことを示している。
 主な経営破たんは、ホテル・リゾートの運営受託のWBFホテル&リゾーツ(株)(大阪府、負債160億円)は、インバウンド需要で業容拡大していたが、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛などの影響を受け、2月以降は宿泊客のキャンセルが相次ぎ、4月27日に民事再生法の適用を申請した。

【資本金別】1千万円以上5千万円未満が約5割

 資本金別では、最多が「1千万円以上5千万円未満」の69件(倒産45件、準備中24件)で、約5割(構成比48.9%)を占める。
 一方、「1千万円未満」が53件(同36件、同17件)と、約4割(37.5%)だった。内訳は、「1百万円以上5百万円未満」が26件(同15件、同11件)、「5百万円以上1千万円未満」が17件(同14件、同3件)、「1百万円未満」が8件(同5件、同3件)、「個人企業他」が2件(同2件、同ゼロ)だった。
 1億円以上は2件(同1件、同1件)だった。
 資本金の大きい倒産事例は、コンパクトホテルを運営する(株)ファーストキャビン(東京都、資本金11億9,500万円)が4月24日、関連会社4社と同時に破産を申請した。
 新型コロナ感染拡大で3月下旬からホテル稼働率が約10%まで落ち込み、資金繰りが急激に悪化するなか、緊急事態宣言の発令後に休業するホテルも増え、事業継続が困難になった。

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