• TSRデータインサイト

【新型コロナウイルス関連】2020年4月「パチンコホール」倒産状況

 2020年4月の「パチンコホール」の倒産は、新型コロナウイルス関連倒産の1件(前年同月比50.0%減)だった。ただ、5月に入り、新たに1件が発生しており、新型コロナウイルス感染拡大で全国的に休業要請も広まり、2020年の「パチンコホール」倒産は、2017年以来、3年ぶりに前年を上回る可能性が強まっている。
 新型コロナウイルス感染拡大で、政府は4月7日、東京都など7都府県に緊急事態宣言を発令した。その後、各自治体はパチンコホールなどに休業を要請したが、大阪府や北海道、東京都などでは休業要請に応じないパチンコホールの名前を公表する事態に発展した。
 4月の「パチンコホール」の倒産は4月15日、東京地裁に破産を申請した(株)赤玉(TSR企業コード:400217414、法人番号:5180001056721、愛知県)の1件だった。赤玉は、業績不振が続くなか、新型コロナウイルス感染拡大で来店客が急減していた。ただ、都の休業要請を受けて店舗を休業していたが、先行きの見通しが立たずに事業継続を断念、破産を申請した。
 5月も12日までに1件のパチンコホールの倒産が判明している。東京地裁に破産を申請した(有)有楽商事(TSR企業コード:270161660、法人番号:8070002035237、群馬県)は、新型コロナの影響で4月14日に全店を臨時休業していたが、事業継続を断念した。


パチンコホール倒産推移

 経産省は5月1日から新型コロナの影響などで、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証を行う「セーフティネット保証5号」の対象業種を全業種に拡充した。また、政府系金融機関や信用保証協会の対象業種の見直しで、「パチンコホール」も融資や保証が受けられるようになった。
 一部自治体では、「新型コロナ」の協力金支給を独自に実施する一方、休業要請に応じずに営業を再開する「パチンコホール」もあるなど、先行きは混沌としている。
 しかし、新型コロナ感染拡大前に、射幸性の低下や遊技台の入れ替え負担に加え、競合から二極化が進んでいただけに、新型コロナで経営体力の差が顕在化することになった。
 2020年1-4月累計の「パチンコホール」倒産は、10件(前年同期比100.0%増)と増勢を強めている。ここに新型コロナによる淘汰が重なると、4年ぶりの前年増だけでなく、2014年以来の年間30件台に乗せる可能性も出てきた。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ