• TSRデータインサイト

「緊急事態宣言」で地裁の民事開廷が激減

 終息がみえない「新型コロナウイルス」感染拡大で、全国の地方裁判所で民事事件の開廷数が大幅に減少している。
東京商工リサーチ(TSR)が全国の地裁で取材、蓄積している「裁判所データベース」で、明らかになった。

4月7日、政府が緊急事態宣言を発令し、4月の「裁判データベース」登録件数は847件と3月の3,689件から77.0%減少した。特定警戒都道府県に指定された13都道府県に限らず、全国の地裁で業務を一部縮小し、開廷期日が取り消されたことが大きいとみられる。
5月も、大型連休に加え、緊急事態宣言が5月末まで延長されたことで大幅な減少が見込まれる。

各地裁はホームページ上で、「重要なお知らせ」として緊急事態宣言を受けて、下記の(1)から(4)以外の緊急を要しない民事裁判の開廷を延期するとしている。

 (1)民事保全事件(行政事件の仮の救済手続を含む)
(2)ドメスティックバイオレンス事件
(3)人身保護事件・民事執行事件のうち特に緊急性のあるもの
(4)倒産事件のうち特に緊急性のあるもの

 東京地裁の広報担当者は、TSRの取材に対して「4月の民事裁判開廷数を前月と比べて正確に何割減と回答できないが、4月8日以降開廷されていないので4月の稼働日21日から割り出すと7~8割減少しているのではないか」とコメントしている。

全国地裁登録件数


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年5月13日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【TSRの眼】「トランプ関税」の影響を読む ~ 必要な支援と対応策 ~

4月2日、トランプ米国大統領は貿易赤字が大きい国・地域を対象にした「相互関税」を打ち出し、9日に発動した。だが、翌10日には一部について、90日間の一時停止を表明。先行きが読めない状況が続いている。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 インバウンド需要と旅行客で絶好調 稼働率が高水準、客室単価は過去最高が続出

コロナ明けのインバウンド急回復と旅行需要の高まりで、ホテル需要が高水準を持続している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2024年10-12月期の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、前年同期を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に 

2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりした。

5

  • TSRデータインサイト

2025年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 調達金利の上昇は致命的、企業支援の「真の受益者」の見極めを ~

ゾンビ企業は「倒産村」のホットイシューです、現状と今後をどうみていますか。 先月、事業再生や倒産を手掛ける弁護士、会計士、コンサルタントが集まる勉強会でこんな質問を受けた。

TOPへ