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【速報】 上場企業「新型コロナウイルス影響」調査 (4月21日時点)

 「新型コロナウイルス」の影響を受け、業績を下方修正する上場企業が相次いでいる。
 4月21日までに売上高や利益の下方修正を開示した上場企業は265社にのぼり、売上高が2兆954億円、最終利益は1兆7,013億円が消失した。
 売上高、利益の下方修正分は、3月27日に売上高が1兆円を突破したが(135社、売上高▲1兆1,944億円、利益▲1兆1,177億円)、その後も下方修正を開示する企業が続出。わずか1カ月足らずで売上の下方修正は約1.7倍、利益の下方修正分は1.5倍に膨らんだ。

  • 2020年1月23日以降、適時開示で「業績予想の修正」や「従来予想と実績との差異」などで業績の下方修正を開示した上場企業のうち、新型コロナウイルスの影響を理由としているものを抽出。
  • 新型コロナウイルスの記載はあっても「影響は軽微」などは除外。前回発表は4月17日。
  • 従来予想を一旦取り下げ、「未定」に修正した場合は社数のみをカウント。

売上下方修正 1,000億円以上はJXTGホールディングスなど6社

 売上高の下方修正額の最大は、石油元売り大手のJXTGホールディングス(株)(TSR企業コード:298259230)で、航空船舶輸送の減少などを理由に通期の売上を前回予想から3,500億円引き下げた。また、利益も「新型コロナウイルス感染拡大に起因する原油・銅価格の下落や国内外における石油・石化製品の需要・マージン等の状況」から在庫評価損などが発生、前回の1,550億円の黒字から4,550億円引き下げ、3,000億円の赤字に修正した。企業別では売上・利益とも最大の下方修正額となった。
 以下、売上高の下方修正額は「ユニクロ」を展開する(株)ファーストリテイリング(TSR企業コード:770051693、▲2,500億円)、旅行業大手の(株)エイチ・アイ・エス(TSR企業コード:292203993、▲1,250億円)、ANAホールディングス(株)(TSR企業コード:290096677、▲1,200億円)などが続き、大手企業を中心に6社で売上下方修正額が1,000億円を上回った。
 利益は、JXTGホールディングスに次いで、丸紅(株)(TSR企業コード:570197708、▲3,900億円)、出光興産(株)(TSR企業コード:290009898、▲1,250億円)、住友商事(株)(TSR企業コード:570098629、▲1,000億円)の4社が1,000億円以上の下方修正額となった。
 このほか、三井物産(株)(TSR企業コード:291022189)も、石油・ガス開発事業で最大700億円の減損損失の可能性を開示した。原油価格の大幅下落に伴う在庫評価損などで、大手商社などが軒並み大幅な利益の下方修正を余儀なくされている。

上場企業業績下方修正 金額上位10社

製造業、サービス、小売業で約7割

 業績の下方修正企業の業種別では、製造業が102社(構成比38.4%)で約4割を占めた。製造拠点の中国での混乱に始まり、サプライチェーンの乱れ、世界的な景気の停滞に伴う販売市場の縮小など、多大な影響が及んでいる。
 次いで、外出自粛などに伴う国内消費の落ち込みの影響を受けたサービス業の55社(同20.7%)、小売業の46社(同17.3%)と続き、上位3業種で203社(同76.6%)と7割以上を占めた。

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