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児玉化学工業、事業再生ADR手続が成立

 事業再生ADR手続による再建を目指す化学品製造の児玉化学工業(株)(TSR企業コード:290051312、東証2部)は4月14日、債権者であるすべての金融機関(9社、対象債権68億7,934万円)から同意を得て、ADR手続による事業再生計画が成立したことを発表した。

 児玉化学は2月14日、投資ファンド運営のエンデバー・ユナイテッド(株)(TSR企業コード:300145713、以下EU社)が組成する投資事業組合(以下、EU投資組合)との間でスポンサー支援による合意書を締結。EU投資組合を割当予定先として増資などのスポンサー支援のほか、EU社から金融支援、人的支援を受けることを公表していた。
 事業再生計画の骨子は、対象債権のうち、総額23億円の貸付金債権をEU投資組合に1億円で債権譲渡。EU投資組合はこのうち、額面20億円相当を現物出資するかたちでデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)し、残る3億円は債権放棄する。債権譲渡は6月26日を予定している。
 一方、債権譲渡後の債権残高(45億7,934万円)は、事業再生計画の最終年度である2023年6月末まで元本残高を維持する。ただし、中国子会社の売却及び同社に対する貸付金の回収やゴルフ会員権の売却による手取金と、年度収益に基づく現預金残高の増加額は原資として返済する。

 このほか、資本増強策としてEU投資組合を割当先とする新株発行を実施し、総額10億円を資金調達する。児玉化学の広報担当者は、「EU投資組合側の持株比率は、49%前後となる見込み」とコメントしている。
 児玉化学の2020年3月期(単体)は、売上高99億100万円に対して、最終損失6億7,500万円となり、同期末時点で5億9,100万円の債務超過に転落する見込み。ただ、デット・エクイティ・スワップと新株発行による金融支援などで、2021年3月期第1四半期までには債務超過を解消する予定。
 児玉化学は、「新型コロナウイルスに関しては、今のところ大きな影響は発生していない。ただ、不確定要素も多く、主力の客先となる自動車産業への影響を懸念している」(広報担当者)とコメントしている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年4月16日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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