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「新型コロナウイルス」関連倒産状況【4月14日16:00 現在】

 4月14日16:00までに「新型コロナ」関連の経営破たんは全国で55件に達した。内訳は、倒産が29件、弁護士一任や準備中が26件で、ここにきて倒産が増えてきた。
 経営破たんの企業は全国9地区すべてで発生し、地区別では最多が関東の14件、次いで、中部と近畿が各8件で続く。都道府県別では、東京都の8件(倒産8件、準備中0件)を筆頭に、北海道7件(同5件、同2件)、兵庫県4件(同2件、同2件)、静岡県・大阪府・福岡県が各3件など、“緊急事態宣言”が出た都道府県を中心に、28都道府県に広がっている。
 業種別では、インバウンド消失の影響が真っ先に受けた宿泊業13件(倒産7件、準備中6件)、飲食業7件(同3件、同4件)の2業種で36.3%を占める。また、外出自粛で来店客が減少したアパレル販売、学校給食休止の煽りを受けた豆腐製造業、スポーツイベント中止による製麺業のほか、インバウンド依存の雑貨販売、和装品レンタルなど、多様な業種に広がっている。

 4月に入り、小中学校の休校で給食休止が長引き、食品納入業者や食品製造業者が経営破たんした。また、中国を中心に海外から原材料や資材を輸入していた製造業でも、新型コロナの影響で仕入に支障が生じ、事業継続が困難になったケースも発生。さらに、弁当卸業者はイベントの自粛・キャンセルで需要が落ち込み、経営破たんに追い込まれた。
 新型コロナの感染拡大は、まだ収束が見えず、GW以降まで長期化すると経営体質がぜい弱な小・零細企業から中堅企業でも資金繰りに行き詰まる可能性も高まっている。 


日本地図コロナ0414

4月14日までに経営破たんが30件(判明分)と急増

 経営破たん(判明分)を月別にみると、2月は2件、3月は23件だったが、4月に入ると急増し、14日までにすでに3月ひと月を上回る30件に達した。
 経営破たんの企業は、もともと業績不振の中小・零細企業が多いが、新型コロナの影響で一段と業績悪化が加速し、経営破たんに至ったケースが大半を占めている。
 経営破たんの事例では、長野・稲荷山温泉で旅館経営の稲荷山温泉(株)は三セクで発足したが経営不振に陥り、地元住民の出資で再建を目指した。しかし、赤字経営から抜け出せないまま、新型コロナ感染拡大で宿泊客が激減し、事業継続を断念した。
 静岡県の豆腐製造業、(有)トキワサンコウは地元の食品販売業者や学校給食向け納品していたが、ここ数年は売上高が低迷するなか、納品していた小中学校の休校措置で売上が激減し、破産を申請した。

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