• TSRデータインサイト

コンビニのポプラ 新型コロナが影響し3期連続の最終赤字へ

 (株)ポプラ(TSR企業コード:740156381、広島市、東証1部)は4月7日、2020年2月期連結決算の業績予想修正を発表した。前回予想の当期純利益11億800万円の黒字から3億2,800万円の赤字へ下方修正した。消費増税に伴う開発費や国の還元対象外となる直営店舗の費用負担が嵩んだほか、新型コロナウイルスの影響が重かった。

2020年2月期連結業績予想は、売上高(営業総収入)253億7,700万円(前回予想263億4,400万円)、営業利益▲3億5,800万円(同▲1億2,700万円)、当期純利益▲3億2,800万円(同11億800万円の黒字)で、営業利益は4年連続、当期純利益は3年連続で赤字の見通しだ。同時に未定だった配当も無配に変更した。

ポプラは広島を中心に、お店で炊いた温かいご飯をその場で弁当に詰める「ポプ弁」で人気を得ている。2020年2月期連結決算は、9月まで売上、利益ともに好調だった。しかし、10月の消費増税の影響が重く、コスト削減や販促強化に進めたが、売上減を補えなかった。

新型コロナウイルスの感染拡大で、推進していたホテル、事業所、病院などの施設内店舗が影響を受けた。特に、ホテル店舗全体の2月の売上は前年から65%も減少した。また、ソフトウェアおよび周辺機器のほか、採算が悪化している店舗の減損処理などで14億8,000万円の特別損失計上も響いた。ポプラの担当者は、「強化していたホテルや事業所などの施設内店舗が新型コロナウイルスの感染拡大で裏目に出てしまった。期末の2月の売上が落ち込み、実績や目標に応じて得られるリベート収入が減少したことが大きかった」とコメント。

緊急事態宣言の対象となる7都府県にポプラの店舗は全体の約半数の231店舗あるという。ポプラの担当者は、「個別の時短などはあるかもしれないが、(7都府県の)店舗は営業継続が前提だ。食品の供給に問題ない体制を構築している」と説明した。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2024年度「他都道府県への本社移転」 1万6,271社 TSMC効果?九州が転入超過トップ、県別トップは埼玉県

2024年度に他都道府県に本社・本社機能を移転した企業は1万6,271社(前年度比18.7%増)で、前年度から大きく増加した。コロナ禍からの人流回復や需要変化に合わせ、本社移転の動きが活発化している。

2

  • TSRデータインサイト

創光科学の「破産開始決定」が取消しに ~上場子会社、複雑に絡まり合う利害関係 ~

東証プライム上場の医療機器メーカー、日機装(株)(渋谷区)は5月15日、連結子会社の創光科学(株)(渋谷区)の破産開始決定の取消しに関する経過を開示した。 破産手続きを巡り、2年にわたる親会社VS創業者の異例の抗告合戦へと発展した事件は、最高裁の判断でようやく決着した。

3

  • TSRデータインサイト

警備業界は大手2社の寡占化が進む 人手不足で倒産・休廃業が過去最多

全国の主な警備会社828社の2024年の業績は、売上高が1兆9,180億円(前年比2.6%増)、最終利益は1,604億円(同15.6%増)と、堅調に推移している。 業界市場は拡大しているが、大手の寡占化が進み、中小・零細事業者は人手不足でコストが上昇し、経営環境は厳しさを増している。

4

  • TSRデータインサイト

「雇調金」不正受給 倒産率は平均の約31倍 不正公表1,699件、サービス業他が45%

全国の労働局が4月30日までに公表した「雇用調整助成金」(以下、雇調金)等の不正受給件数は、2020年4月からの累計が1,699件に達した。不正受給総額は551億6,918万円にのぼる。

5

  • TSRデータインサイト

マレリにマザーサンが買収提案、私的整理の協議の行方は ~ 「マザーサンの提案は選択肢の一つ」 ~

自動車部品大手のマレリホールディングス(株)は5月26日、私的整理を協議するために都内で集会を開催した。 集会後、マレリHDの関係者が東京商工リサーチの取材に応じ「マザーサンの買収提案は選択肢の一つだ。それしかないような報道がなされているが、一択ではない」とコメントした。

TOPへ