• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「新型コロナ」ショック、活況の国内ホテル業界を直撃

 「新型コロナ」ウイルス感染が世界的に拡大するなか、影響が企業業績にも暗い影を落とし始めた。特に、ホテル業界はインバウンド急減と国内旅行やイベント、出張の自粛のダブルパンチを受け、業績見通しの下方修正を発表する上場企業が相次いでいる。
 業績修正の額は、カウント可能な分だけでも売上高のマイナスが291億円、利益のマイナスが133億円。ただ、現時点で「影響額の算定は難しい」として影響額が未発表の企業や、業績予想を取り下げる企業などもあり、コロナショックによる収益への悪影響はさらに拡大する見通しだ。


 3月18日現在、主なホテル運営上場企業のうち、新型コロナウイルスに関する業績への影響を開示したのは9社。このうち、通期業績を下方修正した企業は6社だった。
 売上高のマイナス幅の最大は、リゾートトラスト(株)(TSR企業コード: 400431971)で、2020年3月期の売上高を従来予想の1,714億円から1,600億円と、114億円(増減率▲6.7%)引き下げた。昨年の台風15号、19号に加え「第4四半期以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、インバウンドの減少のみならず国内利用者の減少影響があり当初予想を下回る見込み」。
 このほか、(株)京都ホテル(TSR企業コード: 641057083)は外国人・国内観光客の減少、宴会キャンセル、ブッフェの営業自粛などで売上・営業利益が大幅に減少し、1億9,200万円の最終赤字に転落する見通し。

コロナウイルス影響(ホテル)

ロイヤルホテルは2度の下方修正、ワシントンホテルの3月売上は前期比7割減

 (株)ロイヤルホテル(TSR企業コード: 570091055)は2月13日、客室部門の売上減少を見込んで通期業績を下方修正していたが、「前回予想の想定を超えて業績が悪化した」ため、3月17日に再度の下方修正を発表した。売上高の減少は合計37億円(増減率▲8.9%)にのぼる。
 また、ワシントンホテル(株)(TSR企業コード: 400266903)は2月13日に業績予想を下方修正していた。だが、3月度は15日までの売上高実績で、前年同期比68.2%減と大幅に落ち込み、「前回発表時の想定を大きく下回ることが予想される」ことから業績予想を「未定」として、取り下げた。


 国内ホテル業界はインバウンドの下支えに加え、オリンピック需要も見越しての建設ラッシュが続いてきた。観光向け、ビジネスホテルともに高い稼働率と、宿泊費の高騰で活況を呈してきたが、ここにきてコロナショックが直撃、業績に急ブレーキがかかっている。
 当面は感染拡大が終息し、いち早く「コロナ以前」に戻ることが望まれるところだが、気になるのが多方面で議論が浮上している東京五輪の開催だ。
 東京五輪は、これまで続いた「ホテルバブル」の集大成となるはずだった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各国に封鎖の輪が広がるなか、五輪開催の決定の行方はホテル業界にとっても最大の関心事でもある。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「モームリ」前社長らに有罪判決、退職代行サービスは転機に

 8月28日、東京地裁は報酬目的で業務を弁護士に紹介した容疑などに問われていた退職代行サービス「モームリ」運営の(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市、以下モームリ)の法人と前社長の谷本慎二被告らに有罪判決を言い渡した。

2

  • TSRデータインサイト

「マッサージ業界」の倒産増加 ~ 1-7月は過去最多、低価格台頭と施術者確保 ~

2026年1-7月の「マッサージ業」(接骨院・鍼灸院を含む)倒産が68件(前年同期比7.9%増)に達し、同期間では過去15年間で最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

失業なき労働力移動の行方 ~窮境状態にある業種と「人手不足倒産」発生率の相関~

経営資源の配分は、各企業がその時々の最適を探っている。赤字法人率が6割を超え(※1)、人手不足に陥る企業も少なくない。今回は4つの経営資源のうち、「ヒト」「カネ」に注目し、業績が窮境状態に置かれ、かつ人手不足にも悩まされる業種に迫った。

4

  • TSRデータインサイト

芸能事務所に異変、倒産が相次ぐ

メディアの多様化で芸能事務所(プロダクション)が転換期を迎えている。2025年(1-12月)は倒産が26件発生し、2014年以降で過去最多だった。2026年も7月までに12件発生し、倒産が相次いでいる。

5

  • TSRデータインサイト

「焼肉店」の倒産が高止まり、「ヤキニクの日」食べる支援も一案

換気能力の高さから、コロナ禍で脚光を浴びた「焼肉店」が淘汰の波に揉まれている。2026年1-8月(20日まで)の「焼肉店」倒産は29件に達した。年間最多(59件)を記録した前年同期の35件に次ぎ、2009年以降、2024年同期と並ぶ2番目の高水準だ。

TOPへ