• TSRデータインサイト

英「ローラ・アシュレイ」が破たん、関連先の動向は

 英国の生活雑貨・衣料ブランドのローラ・アシュレイ(Laura Ashley)が3.月17日、経営破たんした。現地通信社の報道によると、「新型コロナウイルス」の感染拡大が影響したほか、大株主である投資会社・MUI Asiaからの資金援助が期日までに受けられなかった。日本国内でライセンス権を取得している伊藤忠商事(株)(TSR企業コード: 570013178)は東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「現時点で報道以上の情報は入っていない。今後、影響を精査する」とコメントした。

 ローラ・アシュレイは1950年代、キッチンテーブル向けのテキスタイルメーカーとして創業。若いカップルなどの支持を受けて人気に火が付き、日本国内では1986年からイオングループの連結子会社ローラアシュレイジャパン(株)(TSR企業コード: 292422652)が販売してきた。しかし、販売低迷などを背景に、2018年秋のライセンス契約終了をもって事業から撤退。これに先立つ2018年8月、ローラ・アシュレイブランドのOEMを手掛けていた東京・中央区の婦人服企画販売会社が破産開始決定を受けている。
関係者などによると、破産した会社は売上の約4割をローラ・アシュレイに頼っていたため、ブランドの日本撤退で先行きが見通せなくなり事業を停止したという。

 イオンとの契約終了後、現在のメインライセンシーの伊藤忠商事がライセンス権を取得し、寝具やタオルなどを販売している。2020年3月現在、国内にローラ・アシュレイの直営店舗はないが、アパレル大手の(株)ワールド(TSR企業コード: 662058453)が2020年8月をめどに運営店舗を出店する予定だった。ワールドはTSRの取材に、「現時点では店舗は予定通り出店する方針」と話している。



(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年3月19日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ