• TSRデータインサイト

梶山経産大臣、信用保証協会に「適切かつ迅速な対応」を要請

 2020年3月6日、梶山弘志・経済産業大臣は全国信用保証協会連合会の安藤立美会長に、「新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた事業者の資金繰り支援について」と題した要請文を出した。
 要請文では「新型コロナウイルス」感染拡大で影響を受ける中小企業に対して、各信用保証協会に適切かつ迅速な対応を求めている。
 各信用保証協会は、利用できない要件を定めている。(下記参照)
 だが、梶山経産大臣は、保証審査に保証申込先の赤字や債務超過、貸出条件の変更などの形式的な事象だけで判断せず、「事業者の実情に応じた最大限の配慮」を促している。
 このため、金融機関や信用保証協会に返済条件を変更している中小企業でも、「新型コロナウイルス」による業績悪化が顕著な場合、融資を受けられる可能性がある。また、税金を滞納中の中小企業も、完納が見込める場合、各都道府県の信用保証協会が是非を判断するとみられる。
 「新型コロナウイルス」感染拡大では、政府系金融機関はスピード感を持って対応にあたり、各都道府県や市町村も様々な制度融資を用意している。資金繰りが懸念される中小企業は、まず金融機関や信用保証協会、自治体への相談が第一歩となる。

(参考)【東京信用保証協会HPの「ご利用できない中小企業とは」より抜粋】

(1)当協会およびほかの保証協会の代位弁済先で、協会に求償債務が残っている方。

(2)原則として、協会に対して求償権の保証人として保証債務を負っている方。

(3)手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分を受けている方。(原則として1回目の不渡または支払不能を出して6ヵ月を経過していない方を含む)なお、法人の代表者が手形交換所または電子債権記録機関で銀行取引停止処分(1回目の不渡または支払不能を含む)を受けている場合、当該法人も原則として保証利用できません。

(4)破産、民事再生、会社更生等法的手続中の方(申立中の方を含む)または内整理等私的整理手続中の方。

(5)最後の登記後12年以上経過した株式会社で、新会社法第472条の規定により休眠会社として解散したものとみなされた方。

(6)協会の保証付融資または金融機関固有の融資について延滞等の債務不履行がある方。

(7)確定申告をしていない方。

(8)事業実態・内容、資金使途、返済能力等を判断する資料の提示がない方。

※ 粉飾決算や融通手形操作を行っている、税金を滞納し完納の見通しが見込めない、事業実態・資金使途・返済能力などを判断するための資料がない等の場合もお取扱いできません。


東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年3月16日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ