• TSRデータインサイト

一斉休校で「学習ドリル」に特需

 大手出版取次の日本出版販売(株)(TSR企業コード:130976210、千代田区、以下日販)が3月3日に発表した「総合週間ランキング(2月24日~3月1日、3月3日調べ)」で、売れ行き上位20冊のうち、学習ドリルなどの「学習参考書」が5冊がランクインした。先週は学習参考書は1冊もランキングに入っていなかった。

 2月27日、安倍晋三首相が小中高校の一斉休校を要請し、自宅などで待機する子供たちのために「学習ドリル」の売れ行きが急増したとみられる。小学生の子供をもつ母親は「子供は家庭用ゲーム機を欲しがったが、3月に進むはずだった勉強が残り、家庭学習用にドリルを購入した」と、初めての一斉休校に戸惑う保護者の試行錯誤が「異変」を呼び込んだ。

 出版関係者はTSRの取材に対し、「2月29日に学習参考書の売れ行きが1年で最も売れる日のクリスマスを上回った書店もあった」と、意外な余波に驚きを隠さない。出版不況にあえぐ書店には、「一斉休校」は意図せぬ特需となった。日販によると、週間の総合部門のベストセラーの12位に「くもんの小学2年の総復習ドリル改訂第3版」などが、前週のランク外から一気にランクインした。

 日販の週間ベストセラー(総合)は、「全集」や「文庫」、「ゲーム攻略本」、「雑誌扱いコミック」を除いたランキングになっている。


人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ