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上場企業「新型コロナウイルス影響」調査(2月21日現在)

 「新型コロナウイルス」の感染者が連日、増え続けている。その影響は企業にも広がり、「決算短信」や「業績予想の修正」、「お知らせ」など、新型コロナウイルス関連の影響や対応について情報開示する上場企業が相次いでいる。2月21日13時で情報開示した上場企業は291社に達した。2月14日13時時点の251社から40社増えた。
 また、自主的な開示はないが、東京商工リサーチの独自調査で工場や事業所、店舗の稼働休止など何らかの影響が判明した上場企業は27社(当初31社だったが、その後4社が情報開示した)。合計318社の上場企業が新型コロナウイルスの影響を受け、対応に追われている。  なお、東日本大震災では、2011年3月末時点で1,908社が影響等について開示した。これと比較すると、新型コロナウイルスの発覚からほぼ同期間で情報開示した上場企業は6分の1にとどまる。感染拡大の影響が、いまだに見通せないことが要因にあると思われる。

業績へのマイナス影響56社、テレワーク実施など表明が10社

 情報開示した291社のうち、決算短信や業績予想の修正などで新型コロナウイルスの影響に言及したのは242社。このうち、56社(構成比23.1%)が、売上高や利益の減少など業績へのマイナス要因にあげた。このほか、186社(同76.8%)が「影響の懸念がある」、もしくは「影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」とした。
 また、「その他」が62社で前回集計時点(2月14日13時)の34社から大幅に増加した。このうち(株)エヌ・ティ・ティ・データ(TSR企業コード:292293690)は2月14日、拠点に勤務している協働者1名が新型コロナウイルスに感染したことを明らかにした。上場企業が日本国内で従業員などの感染を公表したのは初めて。日本国内での感染被害が拡大するなか、従業員などに感染被害が及んだ場合の具体的な対応策を検討すべき段階に入ってきたといえる。
 一方、在宅勤務などのテレワークや、時差出勤の実施を公表した企業が10社あった。企業側でも感染被害を防止するため、従業員の働き方を工夫する対策がとられはじめた。

新型コロナウイルス 主な影響・対応

製造業が6割、消費停滞やイベント延期・中止の影響も懸念

 318社の業種別では、製造業が188社(構成比59.1%)で約6割。中国国内の工場や事業所は一部で再開しているが、サプライチェーンの乱れなどから「正常稼働までには時間を要する」とするケースも多い。次いで、サービス業38社(同11.9%)、小売業28社(同8.8%)、卸売業20社(同6.2%)、情報通信業15社(同4.7%)、運輸業13社(同4.0%)と続く。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、各種イベント等の自主的な延期・中止の決定が相次いでいる。また、(株)サンリオ(TSR企業コード:290639557)は、子会社が運営するテーマパークのサンリオピューロランド(多摩市)と、サンリオハーモニーランド(大分県日出町)を、2月22日から3月12日まで臨時休園すると発表した。感染拡大が進行すれば、インバウンド需要の停滞に加え、消費低迷やイベント自粛などが企業業績に悪影響を及ぼす。国内での感染者数が増加し、収束時期が見通せないなか、あらゆる業種への波及が懸念されている。

新型コロナウイルス 影響・対応の業種別

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年2月18日号掲載予定「データを読む」を再編集)
 ※251社のリストも掲載予定

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