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11年ぶりの倒産増を読み解く

 1月15日、東京商工リサーチ(TSR)は友田信男・常務取締役情報本部長が官公庁の担当者向けに倒産状況を説明した。説明会には各官公庁から約20名が出席した。
 説明の概要は以下の通り。


§2019年(1-12月)の倒産は8,383件で11年ぶりに前年を上回った。ただ、バブル崩壊以降の30年間では下から3番目で、引き続き低水準に変わりはない。2019年12月に金融検査マニュアルが廃止され、金融機関の融資姿勢の変化を気にする声も多いが、現状では大きな変化はみられず倒産急増の可能性は低い。

§業種ごとの倒産を細かくみると、繊維関係、アパレルの倒産増加が目立つ。これは百貨店の苦戦の背景と似ている。また、12月単月では、飲食料品が製造・卸・小売の全てで増えている。

§TSRは「赤字累積」、「販売不振」、「売掛金等回収難」の原因を「不況型倒産」と定義している。2019年は6,961件で全体の83.0%を占めた。ただ、現状は「不況型」と文字通り捉えるのではなく、競争力のない企業の淘汰と見たほうがいい。

§TSRの倒産集計は負債総額1,000万円以上だが、これと別に集計している負債1,000万円未満の倒産は2019年に512件あった。リーマン・ショック直後の2009年は520件、2010年は537件だ。集計対象の8,383件と比較すると件数は低水準だが、リーマン・ショック時と同等の高い水準にある点は注目される。

§2019年の倒産のうち、粉飾決算が発覚したのは18件で前年の9件から倍増した。18件は、当事者や代理人が認めたもので全体を把握したものではないが、発覚が2倍になったというトレンドが重要だ。また、粉飾は経営者のみで出来るものではない。

§TSRが保有する企業データのうち、約70万社を対象に直近業績を分析すると、増収は全体の47.6%だった一方で、増益は35.1%にとどまる。売上が伸びても利益が出ていない。利益なき成長は赤字につながりかねない。減収減益は21.5%に及ぶ。制度融資やリスケなど様々な支援を受けながらも、業績が回復しない企業は少なくない。倒産がまだ低水準をたどる中で、国内銀行110行のうち約6割の金融機関が貸倒引当金を積み増している。

§倒産は11年ぶりに増加したが、低水準なことに変わりはない。今、倒産しているのは「息切れ型」だ。各種支援を受けながらも業績が回復せず、誰が背中を押したわけでもなく限界に達した。業績の二極化は改善せず、今後もこうした息切れ型を中心として、倒産が増勢をたどる可能性が高いだろう。


倒産状況を説明するTSR友田信男・常務取締役

‌倒産状況を説明するTSR友田信男・常務取締役

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年1月16日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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