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「おせち遅配」の小野瀬グループ、ぜい弱な財務内容が不安視されていた

 茨城県筑西市のふるさと納税の返礼品「おせち料理」を手がけていた小野瀬水産(株)(TSR企業コード:280219938、筑西市)と、関連の(株)小野瀬フーズ(TSR企業コード:280249950、同所)の破産が波紋を広げている。
 筑西市によると、小野瀬水産が製造を予定していたおせちの配送中止は350件超に達する。また、古河市でもふるさと納税の返礼品に小野瀬水産のおせちをラインナップし、28件の配送遅延が発生している。
 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、小野瀬水産の年商は4億円前後で推移していた。財務データベースでは、2013年4月期の総資産は1億3,608万円に対し、純資産は3,302万円とぜい弱な財務内容だった。生鮮品の製造・卸の特性上、総資産規模は膨らみにくいが、1982年設立で35年以上の業歴を持つ企業にしては内部留保の蓄積が薄い。その後も多額の利益計上は確認できず、TSRは2019年夏時点の企業評点を「47」(満点は100)、リスクスコアを「10」(同)としていた。

小野瀬水産のリスクスコアの推移

‌小野瀬水産のリスクスコアの推移(同業平均値を大幅に下回っていた)

 また、関連会社で複数の飲食店を経営していた小野瀬フーズは、2017年7月期の総資産は9億247万円に対し、純資産は4,842万円だった。自己資本比率は5%台とぜい弱で、2013年7月期に10億円を超えていた年商も、最近は8億円程度に落ち込んでいた。TSRは数年前に債務返済に関するネガティブ情報をキャッチ、こうした情報取材により、2018年春の調査で小野瀬フーズの評点を「45」、リスクスコアを「5」とし、総合格付けは6段階中最低の「F」に評価していた。
 古河市の担当者は、今回のおせちは古河市内の業者へ委託しており、その業者が小野瀬水産へ発注していたと語る。古河市から委託を受けていた業者関係者は、「小野瀬水産の風評は聞いたことがなかった」と話す。
 ふるさと納税返礼品は、自治体から業者への支払いは後払いのケースが多い。それだけに短期的な発注増は、むしろ委託先のオペレーションの混乱や資金繰り悪化を招きかねない。自治体は納税額の上積みを狙い、多種多様な返礼品を用意している。地域振興や地元企業の育成という意味は理解できるが、自治体のブランドを毀損しては元も子もない。今回のケースは、改めて委託先の経営状態を慎重に把握する大切さを教えている。

小野瀬フーズの「評点とリスクスコアのポジション」

‌小野瀬フーズの「評点とリスクスコアのポジション」(最低評価の「F」だった)


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年1月10日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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