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横浜市ラグビーフットボール協会・沼田昭司会長 独占インタビュー

 日本中が沸いたラグビーワールドカップ(W杯)。決勝戦が開催された横浜国際総合競技場(日産スタジアム)では7万103人が観戦し、観客数の最多記録を塗り替えた。
 日本ラグビーの発祥地である横浜では決勝・準決勝を含め7試合が行われた。台風19号の来襲でW杯史上初の中止試合となったイングランド対フランス戦など大会運営はアクシデントにも見舞われたが、大成功裡に終わった。
 今回のW杯を見守り続けてきた横浜市ラグビーフットボール協会の会長で、(株)沼田商会(TSR企業コード:350109761、横浜市金沢区)の代表取締役社長を務める沼田昭司氏にW杯の苦労や今後の展望を聞いた。
 沼田会長は、「横浜市はラグビータウンと認知された。この盛り上がりを維持するため、ラグビー専用グランドを作り、横浜市にプロチームを誘致したい」と意欲を語った。

横浜市ラグビーフットボール協会・沼田会長(TSR撮影)

‌横浜市ラグビーフットボール協会・沼田会長(TSR撮影)

-横浜市で開催までの経緯は

 実は、開催都市の誘致期限までに横浜市は立候補していなかった。ラグビーW杯の価値を理解していなかったのかもしれない。ラグビーW杯は、オリンピック、サッカーW杯と並ぶ3大イベントで、富裕層の外国人観客が長期間滞在するなどの経済効果を丁寧に説明した。結果的に期限には遅れたが、横浜市の単独開催から、神奈川県との共催の形で横浜国際総合競技場で立候補した。

-当初は「準決勝のみ」の開催計画

 開幕戦と決勝戦は、新しい国立競技場で開催する予定だったため、横浜国際総合競技場では準決勝の2試合のみの計画だった。
 しかし、国立競技場の完成が遅れたため、開幕戦と3位決定戦などを東京スタジアム(味の素スタジアム)で8試合、決勝戦や準決勝など7試合が横浜国際総合競技場で開かれることになった。

―多くの外国人ファンが観戦した

 ラグビーは、紳士のスポーツだ。このため、外国人ファンが問題を起こすとは思っていなかったし、特に大きな問題も起きなかった。
 だ、ビールを飲むと聞いていたが、1人でこれだけ飲むとは。そのため、男性用トイレは予想以上の長蛇の列で、これは想定外だった。

-期間中に台風19号が猛威を振るった

 横浜市では10月12日、注目の高いイングランド対フランス戦が台風と重なった。開催したかったが、とてもじゃなく無理だった。他会場での無観客試合も検討したが、スタッフの移動などもあり、難しかった。
 翌13日には、予選突破をかけた大一番、日本対スコットランド戦が控えていた。日本選手やコーチも「試合で決着を付けたい」と開催を望んだ。
 台風に備え、旗やのぼりを取り除くなど、開催は時間との戦いだった。水溜りをポンプで吸い上げ、泥汚れ洗浄など、ボランティアやアルバイトなどの関係者が総力をあげて開催に漕ぎ着けた。
 そして日本代表の活躍で、スコットランドに勝利。初めて予選プールを突破し、協会含めて関係者全員で喜んだ。

―各チームのキャンプ地は

 元には過去、大学選手権で6回優勝した大学ラグビー界の名門・関東学院大学がある。不祥事で関東ラグビーリーグの2部に一時降格したが、2019年12月に入替戦で勝利し、3季ぶりに1部に昇格することになった。
 公式のチームキャンプ地のため、(これまで)非公開としていたが、関東学院大学をアイルランドとスコットランドがキャンプ地とし利用した。横浜市立大学の一部設備も利用した。当初は横浜市立大学がキャンプ地候補だったが、最終的に関東学院大学が両チームのメインキャンプ地になった。

-横浜開催は大成功だった

 満員の観客、白熱した試合など、あまりラグビーに触れてこなかった日本の観客にラグビーの良さが伝わったと思う。「ラグビー憲章」という文化があり、スポーツマンシップや尊敬、規律、ノーサイドなど本物のラグビーを見せることができた。
 このまま終わらせたらいけない。この盛り上がりを維持するために今後も協会として、努力を続けていきたい。

-2021年のラグビープロリーグ構想

 ぜひ、決勝戦の舞台となった横浜市にラグビーのプロチームを誘致したい。そのためには、専用グランドの整備が必要だ。
 今でもトップリーグの一部の試合を「ニッパツ三ツ沢球技場」で開催しているが、ホームとして利用している(サッカーの)Jリーグチーム・横浜FCの試合との兼ね合いもあり難しい。
 横浜市と協力し、市内にラグビー専用グランドを作りたい。そして、プロチームを誘致し、横浜市内でプロ(ラグビーチーム)の試合を開催したい。

決勝戦の会場に向かう観客(11月2日撮影)

‌決勝戦の会場に向かう観客(11月2日撮影)

 沼田会長は、日本で初めてのラグビーW杯開催を振り返り、「(日本対)ロシア戦の前半は、見ていてひやひやした。選手が落ち着いてから、これなら予選リーグを突破できる」と思ったという。
 日本代表の快進撃と、横浜国際総合競技場の大会運営が無事に終わり、今はホッと胸をなでおろしていると笑う。
 今後は、横浜市のラグビー専用グランドでプロチームの試合開催を切に願っている。沼田会長の夢が再び叶うのか。
「横浜」で生まれたW杯の熱気は、まだ熱くほとばしっている。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年12月23日号掲載予定「WeeklyTopcs」を再編集)

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