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ジャパンライフ第3回債権者集会 山口元会長は再び欠席、配当の見通し立たず

 齢者を中心に約7,400人が被害を受けた磁気健康器具の「オーナー商法」を展開し、2018年3月に東京地裁から破産開始決定を受けたジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、代表取締役: 山口隆祥氏)。12月18日に、破産手続きにおける第3回債権者集会が都内で開催された。 集会には、債権者や被害弁護団など100名以上が参加、関心の高さをうかがわせた。

ア自宅から出る山口ジャパンライフ会長(4月25日、都内)

‌自宅から出る山口ジャパンライフ会長(4月25日、都内)

 集会に参加した債権者や被害弁護団によると、山口隆祥・元会長は、今回の債権者集会も2回目に続いて体調不良を理由に欠席した。
 集会では、破産管財人がジャパンライフの資産の換価状況などを説明。また、「(ジャパンライフから)顧問料や政治献金を受けていた者から、返還の意思は確認できなかった」(破産管財人)と話した。
 債権者からは、「被害者のお金が労働債権として優先的にジャパンライフ従業員の給料に支払われるのはおかしい」との声も上がった。
 2018年11月の第1回債権者集会には山口元会長が出席し、「オーナー商法は詐欺ではない」などと強弁していた。
 しかし、2019年4月、6都県警が一斉に特定商取引法違反(事実の不告知)の疑いでジャパンライフの関係先を家宅捜査し、その後の6月に開催された第2回債権者集会に山口元会長は姿を見せなかった。
 山口元会長は9月4日、東京地裁から個人の破産開始決定を受け、10月9日には元社長の山口ひろみ氏も同地裁から破産開始決定を受けている。

被害弁護団の会見

 集会終了後、全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会が会見を開いた。冒頭、被害弁護団の代表である石戸谷豊弁護士が、「ジャパンライフ問題の事実解明と法整備を求める声明」を発表した。
 ジャパンライフは、安倍総理から山口元会長が「桜を見る会」に招待されたことの説明や現行の預託法では被害防止の役割を果たせないとして、12月3日付で「預託法見直しに関する意見書」を消費者庁に提出したことなどを明らかにした。

巨額な顧問料を公表

 また、被害弁護団は「顧問・顧問料のまとめ」を初めて公開した。
 まとめによると、ジャパンライフの顧問などに就任していた5人の顧問料は、元消費者庁課長補佐が2015年度で360万円。元特許庁長官は、2016年度で300万円。元経済企画庁長官秘書は2005年度から2017年度で計9,060万円(年720万円)。元朝日新聞の政治部記者は2013年度から2017年度で計3,011万円余(年720万円)。元科学技術庁の官僚は、2010年度から計1,780万円(年240万円)。被害弁護団は、巨額な顧問料の返還を求めた。
 破産管財人は、「今の状況だと一般債権者への配当は難しい」と説明したという。主要な資産の換価は済んでおり、ここから配当原資を大幅に増やすことは難しい情勢だ。

会見する被害弁護団連絡会(12月18日TSR撮影)

‌会見する被害弁護団連絡会(12月18日TSR撮影)

 被害弁護団は、今後も被害回復に努めていく意向で、ジャパンライフの労働債権の扱いや税金、政治献金、顧問料の返還を求め、配当原資を増やす対策を講じていく。
 ジャパンライフの破綻から2年を迎える。被害者への弁済は、一向にらちがあかないまま時間だけが過ぎ去っている。被害者は高齢者が多く、時間の経過は二次被害をも生みかねない。
 今回、明らかにされた5人への総額約1億4,500万円に達する顧問料は衝撃的だ。
 ジャパンライフが会員の勧誘に使ったとされるチラシには、5人以外にも通信社や大手新聞社の編集委員や解説委員、政治家など著名な人物の顔写真が並んでいる。

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