• TSRデータインサイト

事業承継、個人保証に頼らない金融支援策を=金融庁の会合で発言相次ぐ

 11月25日、金融庁は「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」を開催した。政府から麻生太郎・内閣府特命担当大臣(金融)、宮本周司・経済産業大臣政務官らが出席。金融機関等からは、髙島誠・全国銀行協会会長(三井住友銀行頭取)、安藤立美・全国信用保証協会連合会会長らが出席した。

中小・小規模事業者は、年末に向け資金需要が膨らむ。このため、政府が金融機関等に円滑な資金供給を求めるもので、毎年年末に開催されている。
冒頭、麻生大臣が円滑な事業承継を推進する上でネックになる個人保証や二重徴求を念頭に発言。「事業の可能性や経営者の才能、やる気など、目利きを発揮し、企業を育てていただきたい」と述べ、事業性評価や経営者保証ガイドラインを活用した企業支援を訴えた。
宮本政務官は「地域経済の原動力である中小企業を次世代にしっかりと引き渡していくことは、皆さま方(金融機関等)においても経営基盤を維持するための大きなテーマだ。後継者からの経営者保証を求めない考え方を現場に浸透させて欲しい」と述べ、地方創生の観点からも事業承継への取り組みが重要との認識を示した。

一方、金融機関等からは髙島・全銀協会長が「全銀協は今月、中小企業等に対する金融仲介機能の発揮に全力をあげて取り組む旨を申し合わせた。年末に向け企業の資金需要が高まることからしっかり対応していく」と、意見交換会の趣旨に応えた。
また、髙島・全銀協会長は事業承継について、「全銀協が共同で事務局を務める経営者保証に関するガイドライン研究会で、経営者保証の取り扱いを明確にするためワーキンググループを設置している。事業承継時に焦点を当てたガイドラインの特則を年内に策定する」との見通しを明らかにした。
安藤・全信保連会長は、「事業承継時に経営者保証を不要とする保証制度の開始に向け、必要な予算をお願いしながら手続きを進める」と述べた。今年5月、安倍首相が表明した「個人保証脱却・政策パッケージ」を受け、関係先では経営者保証のあり方の見直しを進めている。安藤会長の発言に、宮本政務官は「事業承継時に経営者保証を不要とする新たな信用保証制度を創設し、専門家による確認を受けた場合、保証料を大幅に軽減する。経産省としては、(創設に)取り組めるよう予算を要求する」と述べ、早期実現に意欲を示した。

麻生太郎・金融担当大臣(11月25日)

‌麻生太郎・金融担当大臣(11月25日)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の全東信、20年前から粉飾決算か=600億円超の債務超過のおそれ

決済代行を手掛けていた(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪市中央区)の破産劇の裏側がわかってきた。東京商工リサーチ(TSR)の取材で、業績悪化を隠すために、多額の預金の架空計上に手を染めていた実態がみえてきた。

2

  • TSRデータインサイト

全東信の破産、焦付不可避と機会損失 ~外食団体、「セーフティネット保証1号」適用を要請~

クレジットカード決済代行を手掛けていた(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪市中央区)の破産の余波が広がっている。7月6日に負債1,259億円(2025年3月期決算時点)を抱え、大阪地裁から破産開始決定を受けて以降、取引金融機関が取り立て不能等を次々と開示している。

3

  • TSRデータインサイト

全東信の粉飾、資本と営業権と不動産から読み解く

大手決済代行の(株)全東信の粉飾は見抜けたのか。破産したいま、過去の決算書を基に違和感を指摘するのは難しくない。預金残高の水増しや債権の架空計上など、全東信はありきたりの手口に手を染めていた。

4

  • TSRデータインサイト

準自己破産の全東信、近畿産業信組が219億円貸出

大手決済代行の(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪府)の資金調達先が東京商工リサーチ(TSR)の取材で判明した。

5

  • TSRデータインサイト

止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く ~ 施工力が「希少資源」、動き始めた内製化 ~

2025年の建設業の倒産は、2,014件(前年比4.6%増)で、4年連続で前年を上回り、2013年(2,421件)以来、12年ぶりに2,000件を超えた。 コロナ禍の2021年に1,065件と2000年以降では最少を記録。その後は増勢に転じ、わずか4年で約2倍に増加した。

TOPへ