• TSRデータインサイト

店舗削減が続くサマンサタバサ、「今後もバッグを中心にスクラップ」

 10月18日、女性向け服飾雑貨ブランド「Samantha Thavasa」などを展開する(株)サマンサタバサジャパンリミテッド(TSR企業コード:293842310、東京都港区、マザーズ、以下サマンサ)は、2020年2月期第2四半期決算説明会を都内で開催した。説明会には藤田雅章社長のほか、菅原隆司副社長ら役員4人が出席。マスコミ関係者も約40名が参加した。

2020年2月期第2四半期累計業績(連結)は、店舗閉鎖が響き、売上高は121億5,700万円(前年同期比13.2%減)に落ち込んだ。損益は、過剰在庫の処理費用として8億円を計上したほか、子会社で開催しているゴルフトーナメント開催費用を例年の第3四半期から前倒し計上(販売管理費)した結果、営業利益は2億8,800万円の赤字となった。さらに、営業費用で為替差損約1億円が生じ、最終赤字は4億3,700万円に膨らんだ。
菅原副社長は、「2018年2月期にグループの減損基準を強化し、20億円規模の減損を実施した。だが、製販計画のバランスが弱く、2019年2月期も(在庫が)9億円、約17%増えてしまった」と説明。その上で、「第2四半期は在庫の削減が急務だった」と語った。
不採算事業の見直しなどで店舗数の減少が続くサマンサだが、2019年2月期は1年間で国内全店舗の2割弱にあたる58店舗を閉鎖した。今期(2020年2月期)も引き続きスクラップを進め、2019年8月末の店舗数は276店と、2月末の292店から半年間で16店舗減少した。なかでも堅調なアパレルに比べ、主力のバッグは採算性が低調で、「今後もバッグを中心に店舗のスクラップを予定している」(菅原副社長)と語った。
通期の業績予想(連結)は、売上高が前期比6.2%減の260億1,800万円、営業利益は同66.9%減の2億2,000万円、最終利益は1億1,800万円の黒字(前期は13億3,700万円の赤字)とした。

藤田社長は、「マーケットが刻々と変化し、激しさを増している。各ブランドの性格、役割を明確にすることが急務」としながらも、「下期も引き続き積極的に減量して健全な経営を行う」と語り、さらなる店舗の削減と過剰在庫の処理を示唆した。経営の健全化に向けた縮小策がいつまで続くのか、サマンサの動向が注視される。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年10月23日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

サマンサタバサの店舗数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ