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「チャイナリスク」関連倒産(2019年9月)

 2019年9月の「チャイナリスク」関連倒産は2件(前年同月比100.0%増)で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は200億4,100万円(前年同月1億1,200万円)と急増した。
 9月12日に負債約200億円を抱えて、上海国際(株)(東京都)が東京地裁に民事再生法の適用を申請、負債を押し上げた。中国国内の取引で詐欺的行為に巻き込まれ、多額の売掛金を回収できず、資金繰りに行き詰まった。倒産に集計されない事業停止、破産準備中などの「実質破綻」はなかった(前年同月ゼロ)。
 2019年1-9月の「チャイナリスク」関連倒産は27件(前年同期比28.9%減)で、小康状態をたどり、2019年通年(1-12月)は前年を下回る可能性が出てきた。


  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他

チャイナリスク関連倒産月次推移

 9月の「チャイナリスク」関連倒産は、件数が2件だったが、大型倒産の発生で負債総額が大幅に膨らんだ。ただ、上海国際分を除くと小康状態に変化はない。
 上海国際は中国の政府系企業が株主に名を連ね、大手商社の審査担当者は「民事再生の真意はどこにあるのか」、「今後も政府系企業の破綻の可能性はあるのか」など、事態の推移に警戒を強めている。現状は情報が輻輳しているが、中国政府系企業への与信引き締めなどの動きは確認されない。ただ、これまで「中国国内の人件費高騰」、「品質・労使問題」などが中心だったチャイナリスクに、新たな懸念材料になってきたのは間違いない。
 2019年度上半期(4-9月)の件数は19件(前年同期比34.4%減)、負債は362億5,500万円(同128.9%増)で、件数は大幅に前年同期を割り込んでいる。

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