• TSRデータインサイト

詳報!サンモトヤマの経営幹部、破産直前インタビュー

 9月30日、東京地裁に破産を申請し、10月1日に同地裁から破産開始決定を受けたセレクトショップ草分けの(株)サンモトヤマ(TSR企業コード:290068029、東京都中央区)。
 創業者の故・茂登山長市郎氏は銀座に本店を構え、「GUCCI」や「HERMES」、「LOEWE」、「ETRO」など海外の人気ブランドを日本に初めて紹介した人物だった。


 サンモトヤマは銀座だけでなく、日本にアウトレットが浸透する前から軽井沢にシーズン落ちの商品を置くブティックを展開。富裕層の別荘オーナーから絶大な支持を得ていた。
 だが、そんな先進的な取り組みも長く続かず、次第に時代の流れに取り残されていく。
 業績不振が続く中、今年に入り運送会社などを経営する人物に株式が移動した。だが、数カ月で株式が戻るなど、不可解な株式の移動に企業統治を懸念する声が上がっていた。

突然の店舗閉鎖

 9月26日、取引先への支払いが困難との理由でホームページ上に東京の銀座本店を含む全国3店舗の臨時休業を突然、発表した。これを受けて27日、東京商工リサーチ(TSR)情報部は同社幹部のA氏にインタビューした。
 A氏は、サンモトヤマの置かれた状況について、「最近は見た目がキャッチーで、分かりやすいブランド商品が売れる時代」と語り、店舗を訪れる顧客数の減少を認めた。だが、すぐに「私どもが売りたいのはそういうブランドではない。当社が扱う商品は、その良さを分かって頂けるお客様がお求めくださっている」とプライドをのぞかせた。
 昭和30年代から40年代。銀座がもっとも賑わい、輝きを見せた時代にサンモトヤマも全盛期を迎えた。当時からの顧客は高齢化が進み、扱い商品は時代のラインナップから外れた。そして、新規客の開拓は進まなかった。
 A氏は「お客様にお茶を提供し、商品をゆっくりご説明した上でお選びいただく」と、創業以来の接客スタイルにこだわった。そして、「単に商品を売るのでなく、豊かな時間を提供する」と理想を語った。

セールありきの経営

 毎年開催するセール“サンフェア”には多くの来場者が訪れる。A氏は「毎年開催するサンフェアは好評で、1万人近いお客様が来場する。おひとり数万円以上をご購入頂いている」と語った。だが、いくら来場者が多くても、フェア販売の商品は“値引いた商品”。サンモトヤマは、定価販売の力量を喪失していた。



 A氏は、「時代的に一周まわって、商品や作り手のストーリーを理解ししてくださるお客様もいらっしゃる」と語った。だが、旧態依然の営業スタイルで、現在のアパレル業界を生き残るのは難しい。名門セレクトショップの破産は、過去の栄光と理想に縋った経営の挫折でもあった。奇しくも9月11日、サンモトヤマと同社名の会社が設立されている。新たなは展開あるのか。関係者の口は堅かった。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年10月3日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

政策金利引き上げ 「1年は現状維持」が59.6% すでに「上昇」が52.0%、借入金利は上昇局面に

企業の59.6%が、これ以上の政策金利の引き上げに「待った!」を希望していることがわかった。今後の望ましい政策金利の引き上げ時期は、「向こう1年は現状維持」が59.6%で最多だった。「引き下げ」も23.6%あり、企業経営の観点では利上げを望む声は少数(16.6%)にとどまった。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の12.2%が事業資金を個人名義で調達 保証債務に上乗せ負担、債務整理や廃業を複雑に

事業資金を代表者名義で調達したことのある中小企業は12.2%に達することがわかった。政府や金融界は「経営者保証ガイドライン」(適用開始2014年2月)や「事業再生ガイドライン」(同2022年4月)などを通じ、企業が抱える債務を整理する際に個人保証が足かせにならないよう取り組んでいる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年「早期・希望退職募集」は 1万7,875人 、リーマン・ショック以降で3番目の高水準に

2025年の「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は43社(前年57社)で、募集人数は1万7,875人(同78.5%増)に達したことがわかった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年7-9月の客室単価 1万6,975円 稼働率80%超え 人手不足の解消が課題

ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年7-9月期の平均客室単価は、1万6,975円(前年同期比8.9%増)で前年同期を上回った。7-9月期で、13ブランドの平均が前年を上回るのは3年連続。平均稼働率は83.9%で前年同期を2.9ポイント上回り、 稼働率も3年連続で上昇している。

5

  • TSRデータインサイト

【最新決算】 私立大学、半数以上が赤字に転落 売上高トップは順天堂、利益トップは帝京大学

全国の私立大学を経営する545法人のうち、半数を超える287法人が直近の2025年3月期決算で赤字だったことがわかった。  

TOPへ