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2019年7月期決算 ウインテストなど2社に重要事象が記載

 上場企業の2019年7月期決算が出揃った。このうち決算短信に「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイング・コンサーン注記、GC)を記載した企業はゼロだった。
 また、GCに至らないが事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業の前提に関する重要事象」(以下、重要事象)が、半導体検査装置開発のウインテスト(株)(TSR企業コード:350949107、横浜市西区)、電子機器向けのメッキ加工の(株)山王(TSR企業コード:350162522、横浜市港北区)の2社に、第3四半期決算に引き続き記載された。

 ウインテスト、山王ともに連結ベースで営業利益、経常利益、最終利益のいずれも赤字を計上し、本業不振が重要事象記載の主な理由となった。ただし、「中国をはじめとする東アジアにおけるビジネス機会並びに受注は増加していることと、今後の運転資金に必要十分な現預金を確保している」(ウインテスト)、「今後必要な資金について、取引金融機関から支援を引き続き得られる見通しであり資金面で問題ない」(山王)とし、GC注記には至らなかった。

1月決算企業、中間期で2社がGC注記

 一方、7月期決算と同じく、9月15日を提出期限とする2020年1月期第2四半期決算では、レディース向けパンプス販売の(株)アマガサ(TSR企業コード:292645201、台東区)と、カジュアル衣料販売の新都ホールディングス(株)(TSR企業コード:293014230、豊島区)の2社にGC注記が記載された。
 アマガサは、2019年1月期決算で、継続的な売上高の減少に加え、最終赤字を計上。金融機関からの新規の資金調達が困難となり、借入金の一定期間の返済猶予を受けたことを明らかにしていた。
 その後も業績は改善せず、第2四半期決算でも連結ベースで営業利益、経常利益、最終利益のいずれも赤字を計上。「金融機関からは引き続き借入金元本の返済猶予を受けている」とし、GC注記の解消には至らなかった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年9月26日号にGC注記等記載企業リストを掲載予定)

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