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注目企業の決算発表、JDI・大塚家具・RIZAP

JDI、832億円の最終赤字で債務超過に

  8月9日、経営再建中の(株)ジャパンディスプレイ(TSR企業コード:294505385、東証1部、以下JDI)は2020年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算を発表した。売上高は904億2100万円(前年同期比12.5%減)、最終利益は832億7400万円の赤字(前年同期は17億7100万円の赤字)だった。
 同日の決算説明会で菊岡稔・常務執行役CFOは、「厳しい競争環境の継続、顧客の在庫調整、米中の貿易摩擦とみられる需要減が響いた」と減収理由を述べた。大幅な純損失は、白山工場の減損を中心とした事業構造改革費517億円を特別損失に計上したことが主な要因。これに伴い、6月30日時点の純資産合計は▲772億3700万円となり、債務超過に転落した。
 債務超過への転落は、取引先などステークホルダーには想定外で驚きをもって受け止められた。JDIは中国系投資ファンドなどで構成する Suwa Investment Holdings, LLC(ケイマン諸島、以下Suwa)からの資本注入や、(株)INCJ(TSR企業コード:033865507、旧:産業革新機構)への債務の株式化など、リファイナンスに向けた交渉を進めている。

  8月13日、JDIは「第3四半期中に債務超過を解消する見込み。当面の資金繰りもINCJ 及び取引銀行から盤石な資金支援を受けており問題ない」とする声明を発表した。
 アップル社からの前受金(2019年3月末で約1,000億円)の返済は減額するもよう。JDIは今年5月、向こう2年間にわたり前受金の返済を、当初予定の半額にすることでアップル社と合意。この時、東京商工リサーチの取材にJDIの関係者は、「(この合意で)2年間合計でキャッシュフローは200億円程度の改善を見込む」と明かしていた。ところが今回、前受金の返済を「(予定額の)4分の1に圧縮する」(JDI)という。
 最大の得意先であるアップル社への返済繰り延べに加え、INCJやSuwaとの資金繰り支援交渉を進めるJDI。ただ、INCJが債務保証する1070億円のコミットメントライン期間はこれまでは1年間だったが、最新の契約は8月2日~12月30日の5カ月間に短縮された。
 JDIが示す「当面の資金繰り」とは、いつまでを指すのか。アップル社の発注がこれまで以上の水準を維持できるのか。ステークホルダーはJDIの綱渡りの交渉を見守っている。

大塚家具、久美子社長「中国、小売からBtoBにシフトする」

 業績不振が続く(株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、JASDAQ)は8月9日、2019年1~6月期決算(非連結)を発表した。
 店舗網の再編などでコスト削減を進めたが、売上高は138億7000万円(前年同期比26.3%減)と大幅減収だった。この結果、1~6月期の最終利益は24億5200万円の赤字(前年同期は20億3700万円の赤字)で、同期間の赤字は4年連続。
 今期(2020年4月期、変則決算)は法人営業の強化やホームページのリニューアルなど経営改善に取り組んでいた。だが、昨年9月から11月末まで開催した「在庫一掃セール」の反動が出た格好で、入店者数の減少が影響した。
 2019年1~6月期の営業利益は23億9700万円の赤字(同35億600万円の赤字)、経常利益は24億900万円の赤字(同34億7200万円の赤字)だった。
 16カ月の変則決算となる今期の業績予想は、売上高442億円、営業利益1億5700万円、経常利益6300万円、最終利益2500万円と黒字転換を見込んでいる。
 9日、大塚家具は報道陣向け決算説明会を開催。大塚久美子社長は、「5月半ばに発表した計画と差はなく、計画通り」と説明した。今後の計画については、「リアルからバーチャル、小売から卸、国内から海外」と方向性を語った。店舗や従業員数を大幅に削減し、この10年間進めてきた経費見直しが「一段落した」(大塚社長)ため、夏から売上改善に向けた取り組みを本格化させるという。
 大塚社長は「リアルの重要性が低くなり、バーチャルが大事になっている」として、インターネットショールームなどへのシステム投資を進める強調。その上で、「小売からBtoBにシフトしていく」と語った。
 期待される中国市場については、「中国国内の販売ディーラーを探している。8月1日に海外営業部を新設し、(日本と同じように)BtoBを進めている」(大塚社長)と意欲を示した。中国市場の業績寄与は、「来年50億円、2年目で100億円。夢ではない」と語った。

RIZAP、インストラクターの処遇改善に3億円

 RIZAPグループ(株)(TSR企業コード:295695790、札証アンビシャス)は8月9日、2020年3月期第1四半期(4-6月期)決算を発表した。売上高は535億100万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は14億8200万円(前年同期13億9000万円の赤字)、最終利益1億4000万円の赤字(同31億1900万円の赤字)だった。営業利益は黒字に転換したが、これは前期に実施した不採算事業の売却による損失解消に加え、上場子会社9社のうち、4社が黒字転換し、合計7社が黒字(前年同期3社)になったことが寄与した。
 主力のRIZAP関連事業(ボディメイク、ゴルフ、イングリッシュ等)の店舗数は2019年6月末で197店(前年同期末158店舗)と、3年ぶりに前年同期比20%以上の店舗数の増加となった。ただ、同事業の売上高は109億円で、前年同期比1.8%増にとどまった。同事業の第1四半期決算の増収率は、2015年3月期以降で最低の伸びにとどまった。会見に登場した瀬戸健社長は、「(今後は)現在まで手薄になっているシニア層の取り込みを進める」と方針を語った。
 上場子会社は、フリーペーパー発行の(株)ぱど(TSR企業コード:350657912、JASDAQ)が最終赤字1億2900万円、フィットネス・保育事業のSDエンターテイメント(株)(TSR企業コード:010040854、JASDAQ)が最終赤字1000万円、と2社が最終赤字を計上したが、他の7社はいずれも黒字を計上した。
 主力のRIZAP関連事業で、今第1四半期は39店舗増と大幅に店舗を増やしたが、瀬戸社長は「インストラクターの処遇改善のための費用として今期3億円を計上する」と発表。サプリメントやノベルティの販売で高い実績を出したり、顧客サービス評価の高いインストラクターへのインセンティブを高める予定だ。これにより「インストラクターのモチベーション向上を狙う」(瀬戸社長)という。

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