• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

注目企業の決算発表、JDI・大塚家具・RIZAP

JDI、832億円の最終赤字で債務超過に

  8月9日、経営再建中の(株)ジャパンディスプレイ(TSR企業コード:294505385、東証1部、以下JDI)は2020年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算を発表した。売上高は904億2100万円(前年同期比12.5%減)、最終利益は832億7400万円の赤字(前年同期は17億7100万円の赤字)だった。
 同日の決算説明会で菊岡稔・常務執行役CFOは、「厳しい競争環境の継続、顧客の在庫調整、米中の貿易摩擦とみられる需要減が響いた」と減収理由を述べた。大幅な純損失は、白山工場の減損を中心とした事業構造改革費517億円を特別損失に計上したことが主な要因。これに伴い、6月30日時点の純資産合計は▲772億3700万円となり、債務超過に転落した。
 債務超過への転落は、取引先などステークホルダーには想定外で驚きをもって受け止められた。JDIは中国系投資ファンドなどで構成する Suwa Investment Holdings, LLC(ケイマン諸島、以下Suwa)からの資本注入や、(株)INCJ(TSR企業コード:033865507、旧:産業革新機構)への債務の株式化など、リファイナンスに向けた交渉を進めている。

  8月13日、JDIは「第3四半期中に債務超過を解消する見込み。当面の資金繰りもINCJ 及び取引銀行から盤石な資金支援を受けており問題ない」とする声明を発表した。
 アップル社からの前受金(2019年3月末で約1,000億円)の返済は減額するもよう。JDIは今年5月、向こう2年間にわたり前受金の返済を、当初予定の半額にすることでアップル社と合意。この時、東京商工リサーチの取材にJDIの関係者は、「(この合意で)2年間合計でキャッシュフローは200億円程度の改善を見込む」と明かしていた。ところが今回、前受金の返済を「(予定額の)4分の1に圧縮する」(JDI)という。
 最大の得意先であるアップル社への返済繰り延べに加え、INCJやSuwaとの資金繰り支援交渉を進めるJDI。ただ、INCJが債務保証する1070億円のコミットメントライン期間はこれまでは1年間だったが、最新の契約は8月2日~12月30日の5カ月間に短縮された。
 JDIが示す「当面の資金繰り」とは、いつまでを指すのか。アップル社の発注がこれまで以上の水準を維持できるのか。ステークホルダーはJDIの綱渡りの交渉を見守っている。

大塚家具、久美子社長「中国、小売からBtoBにシフトする」

 業績不振が続く(株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、JASDAQ)は8月9日、2019年1~6月期決算(非連結)を発表した。
 店舗網の再編などでコスト削減を進めたが、売上高は138億7000万円(前年同期比26.3%減)と大幅減収だった。この結果、1~6月期の最終利益は24億5200万円の赤字(前年同期は20億3700万円の赤字)で、同期間の赤字は4年連続。
 今期(2020年4月期、変則決算)は法人営業の強化やホームページのリニューアルなど経営改善に取り組んでいた。だが、昨年9月から11月末まで開催した「在庫一掃セール」の反動が出た格好で、入店者数の減少が影響した。
 2019年1~6月期の営業利益は23億9700万円の赤字(同35億600万円の赤字)、経常利益は24億900万円の赤字(同34億7200万円の赤字)だった。
 16カ月の変則決算となる今期の業績予想は、売上高442億円、営業利益1億5700万円、経常利益6300万円、最終利益2500万円と黒字転換を見込んでいる。
 9日、大塚家具は報道陣向け決算説明会を開催。大塚久美子社長は、「5月半ばに発表した計画と差はなく、計画通り」と説明した。今後の計画については、「リアルからバーチャル、小売から卸、国内から海外」と方向性を語った。店舗や従業員数を大幅に削減し、この10年間進めてきた経費見直しが「一段落した」(大塚社長)ため、夏から売上改善に向けた取り組みを本格化させるという。
 大塚社長は「リアルの重要性が低くなり、バーチャルが大事になっている」として、インターネットショールームなどへのシステム投資を進める強調。その上で、「小売からBtoBにシフトしていく」と語った。
 期待される中国市場については、「中国国内の販売ディーラーを探している。8月1日に海外営業部を新設し、(日本と同じように)BtoBを進めている」(大塚社長)と意欲を示した。中国市場の業績寄与は、「来年50億円、2年目で100億円。夢ではない」と語った。

RIZAP、インストラクターの処遇改善に3億円

 RIZAPグループ(株)(TSR企業コード:295695790、札証アンビシャス)は8月9日、2020年3月期第1四半期(4-6月期)決算を発表した。売上高は535億100万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は14億8200万円(前年同期13億9000万円の赤字)、最終利益1億4000万円の赤字(同31億1900万円の赤字)だった。営業利益は黒字に転換したが、これは前期に実施した不採算事業の売却による損失解消に加え、上場子会社9社のうち、4社が黒字転換し、合計7社が黒字(前年同期3社)になったことが寄与した。
 主力のRIZAP関連事業(ボディメイク、ゴルフ、イングリッシュ等)の店舗数は2019年6月末で197店(前年同期末158店舗)と、3年ぶりに前年同期比20%以上の店舗数の増加となった。ただ、同事業の売上高は109億円で、前年同期比1.8%増にとどまった。同事業の第1四半期決算の増収率は、2015年3月期以降で最低の伸びにとどまった。会見に登場した瀬戸健社長は、「(今後は)現在まで手薄になっているシニア層の取り込みを進める」と方針を語った。
 上場子会社は、フリーペーパー発行の(株)ぱど(TSR企業コード:350657912、JASDAQ)が最終赤字1億2900万円、フィットネス・保育事業のSDエンターテイメント(株)(TSR企業コード:010040854、JASDAQ)が最終赤字1000万円、と2社が最終赤字を計上したが、他の7社はいずれも黒字を計上した。
 主力のRIZAP関連事業で、今第1四半期は39店舗増と大幅に店舗を増やしたが、瀬戸社長は「インストラクターの処遇改善のための費用として今期3億円を計上する」と発表。サプリメントやノベルティの販売で高い実績を出したり、顧客サービス評価の高いインストラクターへのインセンティブを高める予定だ。これにより「インストラクターのモチベーション向上を狙う」(瀬戸社長)という。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ