• TSRデータインサイト

都内のエステチェーンで賃金未払い、9月末で本社オフィスから撤退か

 エステサロン「白鳥エステ」を運営する(株)アキュートリリー(TSR企業コード:300584920、東京都)で給与未払いが起きていることがわかった。関係者によると、未払い人数は140〜150人に上り、一部取引先とは支払いトラブルも発生している。
 アキュートリリーの代表取締役はエステティシャンとして活動するA氏。業界ではセミナーや施術講師としても知られる。
 「低価格で質の高いサービス」、「プランの押し売りをしない」などの営業姿勢が評価され、若い女性を中心に支持を獲得。池袋や代々木など都心に加え、大阪や名古屋にも出店、2019年6月まで計12店を運営していた。しかし、その後、不採算店の見直しを理由に高田馬場や横浜桜木町など、半数にあたる6店舗の閉鎖を公表していた。こうしたなかSNSなどで数名の従業員が給与未払いを「告発」し、一気に拡散された。
 関係者は「(未払いは)140〜150人規模で、総額は数千万円にのぼる」と明かす。中には半年以上の給与未払いもあるという。
 一部の従業員は給与遅配について、A社長や会社にたびたび全額の支払いを求めたが、会社側は「ない袖は振れないとの一点張りで掛け合ってくれなかった」(アキュートリリー関係者)という。
 別の関係者によると、アキュートリリーは2018年秋以降、機材リースを巡りリース会社と支払いトラブルを起こし、今年3月までに脱毛事業から撤退している。また、エステとは別事業で受託していたコールセンター業務でも、取引先1社に対して契約を履行できていない時期があったようだ。給与未払いが社員間で発覚した2019年春以降、従業員の退職が相次いでおり「人手不足で従来の業務遂行は難しい状態だ」と関係者は指摘する。
 アキュートリリーは7月30日、「給与遅配に関するお知らせ」をホームページ上でリリースし、遅配を認めた。しかし、未払いの人数や金額は、「情報の精査に時間が掛かる」として明らかにしていない。さらに、「2019年いっぱいでの遅配解消を目処(原文ママ)」としているが、複数の関係者は「事業規模を縮小している状況で、どこにその原資があるのか」と会社の見解を疑問視している。
 東京商工リサーチは、アキュートリリーに何度も取材を試みたが、営業時間にも代表電話は応答がなかった。本社オフィスも社員不在の状態だ。関係者によると、本社オフィスは2019年9月末で退去するとみられる。A氏と同社の説明が待たれる。


アキュートリリー本社が入居するビル

アキュートリリー本社が入居するビル

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年8月13日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

 TSR情報とは

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

政策金利引き上げ 「1年は現状維持」が59.6% すでに「上昇」が52.0%、借入金利は上昇局面に

企業の59.6%が、これ以上の政策金利の引き上げに「待った!」を希望していることがわかった。今後の望ましい政策金利の引き上げ時期は、「向こう1年は現状維持」が59.6%で最多だった。「引き下げ」も23.6%あり、企業経営の観点では利上げを望む声は少数(16.6%)にとどまった。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の12.2%が事業資金を個人名義で調達 保証債務に上乗せ負担、債務整理や廃業を複雑に

事業資金を代表者名義で調達したことのある中小企業は12.2%に達することがわかった。政府や金融界は「経営者保証ガイドライン」(適用開始2014年2月)や「事業再生ガイドライン」(同2022年4月)などを通じ、企業が抱える債務を整理する際に個人保証が足かせにならないよう取り組んでいる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年「早期・希望退職募集」は 1万7,875人 、リーマン・ショック以降で3番目の高水準に

2025年の「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は43社(前年57社)で、募集人数は1万7,875人(同78.5%増)に達したことがわかった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年7-9月の客室単価 1万6,975円 稼働率80%超え 人手不足の解消が課題

ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年7-9月期の平均客室単価は、1万6,975円(前年同期比8.9%増)で前年同期を上回った。7-9月期で、13ブランドの平均が前年を上回るのは3年連続。平均稼働率は83.9%で前年同期を2.9ポイント上回り、 稼働率も3年連続で上昇している。

5

  • TSRデータインサイト

【最新決算】 私立大学、半数以上が赤字に転落 売上高トップは順天堂、利益トップは帝京大学

全国の私立大学を経営する545法人のうち、半数を超える287法人が直近の2025年3月期決算で赤字だったことがわかった。  

TOPへ