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「感染症や外来生物、消費者へ正しい情報発信を」虫ケア用品最大手のアース製薬、川端克宜社長 独占インタビュー(前編)

 アウトドアで賑わう夏がやってくる。近年は、夏場にデング熱やジカ熱などの原因となるウイルスを媒介する虫、ヒアリなど外来生物による健康被害が後を絶たず、予防策やケアに関心が高まっている。
 虫ケア用品最大手のアース製薬(株)(TSR企業コード:670006475、千代田区、東証1部)は、「サラテクト」や「アースジェット」、「アースノーマット」などの虫ケア用品で知られるが、今年2月には光触媒で蚊を誘引、捕獲する「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」を発表し、話題になった。
 今回は業界をけん引するアース製薬の川端克宜社長に虫ケア用品業界のトレンドや今後の市場予測、海外展開などの話を聞いた。

-虫ケア用品の国内市場は?
 消費者購入ベースで年間1,000億円ぐらい。猛暑や冷夏など年によって多少の上下があり、売上はその都度、一喜一憂する面もあるが、今後も1,000億円前後の安定した市場だろう。これから10年後に700億円台に下がるようなこともないが、逆に1,500億円を超えることもない。

-国内人口は減少するが、市場規模が変わらない理由は?
 人口は1億2,000万人から減少していくのは確かだ。一方で、世帯数は核家族化などを背景に、まだ横ばいが見込まれている。アースノーマットなどの虫ケア用品は、部屋数や世帯ごとに購入される。そのため、虫ケア用品の市場規模の動きは、純粋に人口の動向から述べることはできない。

-近年、感染症やヒアリなどの外来生物による被害が報道され、消費者の関心が高い
 2014年にデング熱、その後はジカ熱、ヒアリの問題が報道され、ウイルスを媒介する虫や外来生物による影響が“スポット的に”注目される。大切なのは日ごろから感染症にどのような危険があり、予防策とケアにはどのようなことが必要かを知っておくことだろう。感染症や外来生物に対する正しい情報発信が重要だ。
 しかし店頭で消費者に正しい情報発信をすることが難しい現状もある。

取材に応じる川端社長(撮影・東京商工リサーチ)

取材に応じる川端社長(撮影・東京商工リサーチ)


-消費者の関心が高い中、なぜ情報発信が難しいのか?また、どのような情報発信が必要なのか?
 虫ケア用品は、虫よけ剤でも販売店では一般的な日用品コーナーに並び、セルフサービスで販売されているため、予防策とケアの重要性を伝えにくいのが現状だ。
 また、虫ケア用品は安さを理由に常備薬として購入する商品ではなく、報道や虫が出てはじめて必要性を感じ購入する、消費者にとっては“困りごと解決商品”の代表格でもあるからだ。だからこそ、営業の現場での一般的な日用品とは少し違うアプローチや、マーケティング活動での予防策やケアに対する情報発信のためのセミナーや啓発イベントが重要になってくると考えている。

-情報発信の具体的な手段は?
 まず営業現場では洗口液や入浴剤などと同様に商談を進める。その際に先方へは「虫ケア用品は他の日用品とは(消費者に対して)少し違うアプローチが必要なんですよ」と案内する。そしてアース製薬の強みでもある営業部員やEMAL(営業担当とは別の消費者視点で独創的な売り場をつくるスペシャリスト)が販促物を設置したり、店頭に立って商品説明を行いながら、直接消費者に啓発活動を実施している。
 さらにセミナーや啓発イベントなどを通して、消費者に向けて地道な情報発信も実施している。
 今はネットによる情報拡散も影響力は大きい。例えば、店頭販促物を見たり、イベントに参加した消費者に、TwitterなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで正しい情報を拡散していただくことで、 個々に情報を発信する“点”での活動は、“線”となって伝達されていくのではないかと考えている。

-今年2月、化学殺虫成分を使わない蚊捕獲器「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper(モスキートスイーパー)」を発表した
 開発から販売まで4年を要した。この商品は化学殺虫成分を使用せず、光触媒で二酸化炭素を効率的に発生させ、さらに蚊が好きな果物由来の匂いを発する誘引剤を使用した蚊捕獲器だ。
 市場に並ぶ従来の虫ケア用品に使用されている化学殺虫成分は、ヒトやペット(犬、猫)の体内に吸収されたとしても、分解され体外に排出される。しかし、乳幼児やペットのいる家庭を中心に“どうしても化学殺虫成分を使用したくない”、でも“虫は寄せ付けたくない”という消費者も多い。
 このような消費者のために開発を進め発売した商品が「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」だ。

蚊捕獲器「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」(アース製薬提供)

蚊捕獲器「蚊がホイホイ Mosquito Sweeper」(アース製薬提供)


-来年開催される東京五輪のオフィシャルパートナーも務める
 東京2020大会は夏の開催。これが冬の大会だったら、関わっていなかったかもしれない。「東京で夏」ということで果たすべき役割は大きい。大会に向けて、社内にプロジェクトチームを設け蚊媒介感染症対策に関する啓発イベントも積極的に行っている。
 選手はもちろんのこと、大会の応援に訪れる日本国内外の多くの消費者に、予防策やケアに対する情報発信をしていきたい。
(後編へ続く)


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年7月18日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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