• TSRデータインサイト

キャラメルボックス、給与未払いでも舞台に立ち続けていた

6月19日、東京地裁から破産開始決定を受けた「演劇集団キャラメルボックス」運営の(株)ネビュラプロジェクト(TSR企業コード: 292931123、中野区、加藤昌史社長)の劇団員やスタッフの給与が未払いになっていることがわかった。

 東京商工リサーチ(TSR)の取材で、破産申請時の債権者数は228名、負債総額は5億2,071万円だったことが判明している。劇団関係の債権者数は65名で、債権額は合計1億9,779万円に達する。このうち、劇団員は45名で債権総額は6,318万円。1人当たり平均額は140万円に及ぶ。最高は、出演料等で790万円だった。
 また、スタッフ20名の債権総額は1億3,461万円で、1人当たり平均は673万円。20名分の内訳は、未払給与9,810万円、退職金3,587万円、解雇予告手当63万円だった。
 未払給与は、2015年の退職者分から生じ、退職金は2014年から未払いが散見されていた。

 キャラメルボックスは2009年以降、観客動員数が落ち込み、多額の予算を投じた劇団25周年記念公演も開催中に東日本大震災が直撃し、深刻な経営不振に陥った。しかし、その後も劇団員やスタッフらは、劇団存続のために賃金が未払いでも公演を続けていた。
 国内有数の知名度を誇る劇団だったが、苦しい経営のなかで公演回数を増やすなど事態の改善を願った劇団員、スタッフの思いは通じなかった。稽古などで相当な時間を拘束される劇団員、スタッフへの賃金未払いは、演劇界にとって決して対岸の火事ではない。


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ