• TSRデータインサイト

サブカルチャーの聖地、ヴィレッジヴァンガードの店舗数が5年で1割減少

2014年以降、店舗数が減少

書籍、雑貨販売の「ヴィレッジヴァンガード」などを運営する(株)ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(TSR企業コード: 400882051、名古屋市、JASDAQ、以下VVC)の店舗数が、年々減少をたどっている。
 VVCは「遊べる本屋」をキーワードに、書籍や雑貨、CD、DVDなどを融合した店舗を展開。若者を中心にサブカルチャーの聖地として認知されている。しかし、店舗数(2017年8月に会社分割したフード事業を除く)は、2014年5月期の390店(直営店377店、FC13店)をピークに、2019年5月期は348店(直営店342店、FC6店)まで減少した。
 これに伴い売上高(単体)も、2012年5月期の389億3,200万円をピークに、2018年5月期は334億6,000万円に減少している。

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションの店舗数推移

「リアル店舗の生き残りは厳しい」

東京商工リサーチ(TSR)の取材に、VVCの担当者は「時代の流れでリアル店舗の生き残りは厳しく、不採算店を閉めている」と店舗減少の理由を語った。
 連結子会社だったエスニック雑貨や衣料を扱う(株)チチカカ(TSR企業コード:292355599、社名は当時)は2016年にグループから外れた。かつては、ヴィレッジヴァンガードとともに積極的にモールにも出店していたが、その後は事業の見直しを図っている。
 近年、安価でトレンドを取り入れた雑貨を扱う300円ショップや、複合型の書店などが台頭している。これについてVVCは、「特に他の雑貨店をライバルとして意識していないが、ネット通販企業の台頭は意識している」と話す。FC店の減少については、「オーナーの意向によるところが大きい。年齢を理由にするケースも増えてきた」と語り、事業承継の問題がFC店に波及していることを示唆した。

オンライン通販で巻き返しに意欲

VVCは不採算店の閉鎖を進め、今後はより収益性の高い店舗運営に注力していく。
 関連子会社の(株)Village Vanguard Webbed(TSR企業コード:402987780、横浜市)ではネット通販を展開し、従来のリアル店舗の販売からオンライン強化を推進している。また、商品構成の見直しや新進のクリエイターが制作した商品も扱い、他のネット通販会社と差別化を図る意向だ。
 リアル店舗のオーナーの高齢化はサブカルチャーの聖地も例外でない。忍び寄る高齢化にネット進出が最適解となるのか注目される。


ネット通販を強化するヴィレッジヴァンガード

ネット通販を強化するヴィレッジヴァンガード


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年6月17日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ