ジャパンディスプレイ、主力のモバイルカンパニーの分社化を検討
台中連合から金融支援受け入れに向けた動きが続く(株)ジャパンディスプレイ(TSR企業コード:294505385、東証1部、以下JDI)が、主力のスマートフォン(スマホ)向けパネル製造などを手掛けるモバイルカンパニーの分社化を検討していることがわかった。
JDIの100%出資で子会社を設立し、事業移管を想定している。これに伴いスマホ向けパネルを製造する白山工場など資産の新会社への移管や、工場建設資金としてアップル社から調達している前受金も新会社に移管される可能性がある。
2019年3月期第4四半期(1-3月)の連結売上高1,713億円のうち、モバイル部門は約74%を占めている。VR・デジカメ向けなどノンモバイル分野、車載向け売上高はいずれも伸長しているが、モバイル部門の不振でJDI全体の業績は低迷している。JDIは分社化について、「執行権限と責任をより明確化する」と説明する。ただ、アップル社からの前受金は2019年3月末時点で1,000億円程度あり、売掛債権と相殺する形で返済している。5月30日、JDIは前受金の返済を今後2年間に渡り、これまで合意条件としていた半額を繰延べることで合意したと発表している。繰延べ額は公表されていないが、関係筋は「2年間合計でキャッシュフローは200億円程度の改善見込み」と明かす。
アップル社への返済義務も新会社に移ることが想定されるが、債権の発生具合によって、JDIは新会社の資金繰り支援を迫られる可能性もある。新会社が将来、JDIから独立する可能性についてJDIの担当者は、「何も決まっていないが、色々な選択肢があり得る」と話すにとどめる。以前よりファイナンスの幅が広がったと捉えられるが、JDIの動向にしばらく目を離せない。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年6月3日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)