• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

東芝 決算発表で露呈した「2つの誤算」

営業利益が6割減

 大手電機メーカーの(株)東芝(TSR企業コード: 350323097)は5月13日、2019年3月期の業績を公表した。同日、13時半より車谷暢昭・代表執行役CEOらが都内で会見し、概要を説明した。
 2019年3月期の連結業績は、スマートメーター製造のランディス・ギア(2017年7月売却)やパソコン事業が連結対象から外れ、火力発電、送配電事業も振るわず、連結売上高は3兆6,935億円(前期比6.4%減)にとどまった。
 損益は、構造改革による固定費負担の削減も減収分をカバーできず、営業利益は354億円(同58.9%減)と約6割減。ただ、半導体メモリ事業の売却で、最終利益は1兆132億円(同26.0%増)を確保した。
 海外原子力事業の不振で一時は債務超過に陥った東芝だが、半導体メモリ事業の売却やその後の構造改革で、2019年3月末の株主資本は1兆4,566億円のプラスに回復した。ただ、東芝は2018年11月に総額7,000億円の自己株式の取得を表明。今期(2020年3月期)に前期実行分を除く約3,000億円を実施するため、株主資本は今後目減りする。

構造改革への決意

半導体メモリ事業の売却で財務・資金面の改善が図られた格好となったが、2019年3月期の営業利益率は1.0%にとどまり、「稼ぐ力」に課題を抱えている。
 これに対応するため、東芝は2018年11月に「東芝Nextプラン」を公表。事業の選択と集中による財務・収益基盤の強化を打ち出した。会見で車谷CEOは「(利幅の薄い)売上が多少減っても営業利益率が上がる体質を作る。また、リスク量の低いところにキャピタルを張る」と述べ、構造改革を断行する決意を示した。

会見する車谷CEO(5月13日、都内)

会見する車谷CEO(5月13日、都内)

2つの誤算

ただ、Nextプランは誤算が続く。東芝は選択と集中の一環で、アメリカ産液化天然ガス(LNG)事業を2019年3月期中に売却する方針だったが、売却先の中国企業と最終調整がつかず断念した。
 また、Nextプランでは、グループで7,000人規模の削減を見込んでいた。だが、中国経済の悪化などから東芝デバイス&ストレージ(株)(TSR企業コード:024413844)で約350人の希望退職実施を新たに追加した。東芝デバイスの福地浩志・代表取締役社長は、「従業員の配転、固定費削減はすでにやっていた。中国市場が落ちたのでさらに手を打った。研究費・外注費削減などもやる」と語る。今回の350人は当初計画の7,000人の「外数(そとすう)だ」(車谷CEO)という。
 東芝は、今後も構造改革を進め、今期(2020年3月期)は1,400億円、2022年3月期は2,400億円の営業利益を確保したい考えだ。

 TSR情報とは

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ