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曙ブレーキ工業 事業再生ADRスケジュール変更、決着は9月へ

 事業再生ADR手続による再建計画案を策定中の曙ブレーキ工業(株)(TSR企業コード:290001102、埼玉県羽生市、東証1部)は4月8日、第2回債権者会議(事業再生計画案の協議)を開催した。
当初は第2 回債権者会議を経て、第3回債権者会議(6月11日予定)で計画案の決議、全取引金融機関の同意による事業再生ADRの成立を目指すとしていた。しかし、協議に時間を要するとして、6月に第2回債権者会議の続会を開催する。最終的なADR成立の決議は9月にズレ込みそうだ。

曙ブレーキ工業は「事業再生計画案の策定には、いましばらくの時間を要する見通し」として、6月11日に第2回債権者会議の続会、第3回債権者会議(決議)を同日開催するとした。このため、決議のための第3回債権者会議は、6月開催後に9月頃を目処に続会を開催する。ADR成立のための最終決議は9月に開催の見通しで、スケジュールは当初より3カ月間延びることになる。このスケジュール延長は金融機関の承認を得たという。
曙ブレーキ工業は東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「協議に時間を要しているのは、スポンサー候補から精査のために時間が欲しいという要望があるため」とし、「(スポンサー候補は)複数あがっており、選定を進めている」(広報担当者)とコメントした。

一部メディアが再建計画を報じる

4月6日、曙ブレーキ工業の再建計画を一部メディアが報じた。これによると、欧米の不採算拠点で生産を縮小し、従業員の削減・配置転換を進め最大3工場を閉鎖する。また、トヨタ自動車以外の保有株を売却し、運転資金を確保する。
 スポンサー企業については、国内外の複数の投資ファンドなどが候補に挙がり、選定が進んでいる。また、大株主のトヨタ自動車は資本支援を見送り、事業面での支援にとどまると報じられている。
 曙ブレーキ工業は4月8日、「報道内容は当社として発表したものではない」とリリース。「計画の内容は発表していること以外は何もコメントできない」(広報担当)とした。

2019年3月期は192億円の最終赤字を予想

 

2019年3月期決算は、減損損失などの特別損失を計上し、連結ベースで192億円の当期純損失を見込んでいる。第3四半期末時点で同社の自己資本比率は4.6%(連結、純資産額126億2,300万円)まで落ち込んでおり、財務内容が急速に悪化している。
 全取引金融機関の合意とスポンサー支援というポイントをクリアできるか。再建の行方に注目が集まっている。

曙ブレーキ工業(グローバル本社、東京都中央区)

曙ブレーキ工業(グローバル本社、東京都中央区)

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年4月10日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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