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破産した「てるみくらぶ」の配当率 1.9%に

 2017年3月、営業を突然休止し、破産を申請して9万人の旅行者が被害を受けた格安旅行会社、(株)てるみくらぶ(TSR企業コード:296263001、東京都)の第4回債権者集会が3月13日、東京地裁で開かれた。集会で、てるみくらぶの旅行者など一般債権者の配当(弁済)予定率が1.9%になることが報告された。配当は今年8月末までを目安に順次実施していく予定。
 配当予定の債権内訳は、優先公租公課1,500円、優先労働債権2,494万4583円、一般債権2億7,135万7831円。破産手続きでは、一般債権として151億7,341万6,330円が届け出られたが、このうち否認分などを除き、142億8237万5176円として評価された。
 評価額を配当予定額で割った配当予定率は1.9%(一般債権)となり、100万円のツアーを申し込んだ人には1万9,000円程度が配当される計算だ。
 破産管財人は資産の換価について、「メインバンクと協議して財団に組入れたほか、航空会社の販売奨励金、関係会社の株式売却や貸付金の回収、税金還付、社員の机の中から現金1,000万円を回収した」ことなどを説明した。
 2017年3月24日、てるみくらぶが突然休業。航空券の発券が出来なかったり、海外の旅行先でホテルに宿泊出来ない客が続出し、社会問題に発展。同年3月27日に東京地裁へ破産を申請した。てるみくらぶの倒産を受けて観光庁は、弁済額の引き上げなど消費者保護策をまとめた。
 2017年11月、第1回債権者集会に出席した山田千賀子社長(当時)は粉飾決算を認め、集会の2日後に警視庁捜査2課に詐欺の疑いで逮捕された。山田社長は預金隠匿なども発覚し、破産法違反の容疑で再逮捕された。
 山田社長の逮捕後も、破産管財人がてるみくらぶの財務調査や資産換価を進め、破産から2年を経過して、ようやく配当率が決まった。
 

「てるみくらぶ」の本社入口(2017年3月撮影)

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