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「IHIグループ国内取引状況」調査

 総合重電メーカーの(株)IHI(TSR企業コード:290014964、法人番号:4010601031604、東京都江東区)は3月5日、民間航空機エンジン整備事業で、無資格の従業員に検査をさせていた不適切な事象が発覚、国土交通省の航空法に基づく立ち入り検査を受けていたことを明らかにした。
 不正は数年前から続いていた可能性があり、報道によると国交省は行政処分を検討している。
 東京商工リサーチ(TSR)は、IHIと同社グループ(以下、IHIグループ)と直接取引のある1次、間接取引の2次の取引先数を調査した。取引先は仕入先が合計1万5,031社(重複除く)、販売先は合計4,475社(同)だった。
 IHIグループと直接取引している1次仕入先は3,990社で、このうち製造業は1,681社(構成比42.1%)と4割を占めた。1次仕入先の本社所在地は、東京都が943社(同23.6%)と最多だった。
 IHIグループと直接取引のある1次仕入先、販売先ともに4割が関東に集中し、製造工場や関連会社の本社工場がある神奈川県、広島県、兵庫県、愛知県、長野県、新潟県に多くの取引先が存在している。
 取引先は、資本金1億円未満(個人企業を含む)の中小企業が1次仕入先(3,990社)で3,638社(構成比91.1%)、1次販売先(989社)では791社(構成比79.9%)と、大半を占めた。
 航空事業を柱とするIHIは、今回の不祥事が業績の足かせとなることが懸念されるが、同時に中小企業が大半を占める取引先への影響も見守る必要がある。


  • 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、IHIおよび同社グループの仕入先、 販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分け、業種、地区、規模などを抽出、分析した。
  • 1次取引先は直接取引のある取引先、2次取引先は1次取引先と直接取引がある間接取引企業を示す。
  • IHIのほか、2018年3月期の有価証券報告書に記載されている国内連結子会社12社、持分法適用会社1社(ジャパンマリンユナイテッド(株))の合計14社を対象とした。

【産業別】1次、2次仕入先は製造業が最多、業種は自動車部分品・附属品卸売業が上位に

 IHIグループと直接取引のある1次仕入先は3,990社だった。産業別では、製造業が1,681社(構成比42.1%)と最も多かった。次いで、卸売業794社(同19.9%)、建設業687社(同17.2%)と続き、上位3産業で約8割(同79.2%)を占めた。
 1次仕入先の業種分類は、その他の産業機械器具卸売業が212社(構成比5.3%)、機械器具設置工事業が132社(同3.3%)、製缶板金業が117社(同2.9%)の順。
 また、2次仕入先は1次仕入先の2.7倍の1万1,041社ある。産業別で最多は、製造業の4,582社(構成比41.5%)。次いで、卸売業3,892社(同35.2%)で、この2産業で7割を占めた。
 販売先の産業別は、1次販売先(989社)で卸売業312社(構成比31.5%)、2次販売先(3,486社)では製造業1,076社(同30.8%)が最も多かった。
 販売先の業種別は、1次販売先(989社)では、その他の産業機械器具卸売業101社(構成比10.2%)、農業用機械器具小売業41社(同4.1%)、農業用機械器具卸売業39社(同3.9%)の順。2次販売先では、自治体などの市町村機関144社(同4.1%)が最多だった。

産業別 IHIグループ国内取引状況

【本社地別】1次仕入先は工場や子会社のある愛知県、長野県、新潟県が上位

 IHIグループの取引先を本社所在の地区別でみると、1次・2次仕入先、1次・2次販売先ともに最多は関東で4割を占めた。以下、近畿、中部と大都市圏が上位に名を連ねている。

 1次仕入先の都道府県別では、東京都が943社(構成比23.6%)で最も多かった。次いで、神奈川県482社(同12.0%)、大阪府371社(同9.2%)と続く。
 トップ10は製造工場のほか、関連会社の本社工場がある広島県(4位)、兵庫県(5位)、愛知県(6位)、長野県(7位)、新潟県(10位)が名を連ね、多くの取引先があることがわかった。
 1次販売先では、東京都が239社(構成比24.1%)で最も多かった。次いで、大阪府70社(同7.0%)、北海道63社(同6.3%)、神奈川県55社、広島県42社の順。

地区別 IHIグループ国内取引状況

【資本金別】1次仕入先は1億円未満が9割を占める

 資本金別でみると、1次仕入先(3,990社)の最多が1千万円以上5千万円未満の2,516社(構成比63.0%)。1億円未満の中小企業は3,638社と、9割(同91.1%)を占めた。2次仕入先(1万1,041社)では、1千万円以上5千万円未満が5,388社(同48.8%)と最も多かった。
 1次販売先(989社)では、最多が1千万円以上5千万円未満の539社(構成比54.5%)。以下、1億円以上が198社(同20.0%)、1百万円以上5百万円未満が97社(同9.8%)と続く。1億円未満の中小企業は791社と約8割(同79.9%)を占めた。
 2次販売先は、1億円以上が1,776社と半数以上(構成比50.9%)となった。

【従業員数別】 1次仕入先は100人未満が8割超

 従業員数別でみると、1次仕入先(3,990社)は、最多が10人以上100人未満が2,231社(構成比55.9%)と、5割を占めた。100人未満(不明含む)は3,475社と、8割超(構成比87.0%)となった。2次仕入先(1万1,014社)は、10人以上100人未満が5,359社(同48.5%)と最も多かった。
 1次販売先(989社)は、最多が10人以上100人未満の405社(構成比40.9%)。100人未満(不明含む)は788社と、約8割(構成比79.6%)を占めた。2次販売先は500人以上が1,131社(同32.4%)で最も多かった。


 2017年から2018年にかけ神戸製鋼所、日産自動車、KYB、川金ホールディングス、日立化成など、国内有力メーカーのデータ改ざんが次々と明らかになった。
 IHIは航空機の核となるエンジンに関わる不適切な事象で、命に直結するだけに安全面で重大な瑕疵となる可能性もあり、その責任は重い。
 昨今、コンプライアンス(法令順守)の重要性が高まっている。相次ぐ不正の発覚で、企業はコンプライアンスやガバナンス確立を掲げているが、その場限りの常套句になっているケースもある。真剣に企業としてのモラルが問われていることを認識すべきだろう。
 IHIは2008年2月、有価証券報告書を大幅に訂正し、東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定され、上場維持が危ぶまれた経緯がある。
 今回の不適切な事象についてIHIは、国交省に全面的に協力して不適切な事象の詳細な調査を進め、「詳細事項が判明したら報告させていただく」(IHI広報・IR)としている。
 メーカーは自社の社会的な信用棄損だけでなく、取引先、特に、中小企業にも有形無形の悪影響が及ぶ可能性を認識すべきだろう。

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