• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

76億円調達の大塚家具 大塚久美子社長が中国市場への展望を語る

 2月15日、(株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、JASDAQ、大塚久美子社長)が2018年12月期の決算(非連結)を発表した。「在庫一掃セール」は好調だったが、当期損失は32億4,000万円と3期連続の赤字決算となった。
 昨年12月に業務提携を発表していた「居然之家(イージーホーム)」に加え、新たに越境ECマーケティングを手がける(株)ハイラインズ(TSR企業コード:022392530、渋谷区)と業務提携した。さらに、大塚家具を含む業務提携先3社の緊密先(日・中・台の取引先企業)が組成するファンドから18億円、米系ファンドのEastmore Global, Ltd(ケイマン諸島)から20億円と、合計38億円を第三者割当による新株発行で調達することも決まった。
 これに加えてEastmore社、ハイラインズとハイラインズ代表の陳海波氏を割当先とする合計38億円の新株予約権を発行し、最大76億円を調達することが明らかになった。

海外事業を本格スタート

 大塚社長は国内の家具市場の成長が鈍化するなか、中国市場に活路を見出す意向を示した。中国進出には提携先のイージーホームが持つリアル店舗での協業と、ハイラインズが得意とする越境ECマーケティングや販売促進システムなどECエリアで協業する。リアル店舗では配送システムの効率化などのノウハウ提供やきめ細やかな「日本流サービス」の提供も図るという。
 国内販売では家電量販大手のヤマダ電機(株)(TSR企業コード:270114270、東証1部)と業務提携する。住宅・リフォーム・家具販売を展開するヤマダ電機の「家電住まいる館」事業での提携や将来的な法人営業分野での提携なども検討、シナジー効果を求めていく。
 大塚久美子社長は15日、東京商工リサーチの取材に応じ、「海外ビジネスの本格進出は初となる。相当な努力が必要だが、中国マーケットに熟知する2社の助けを得られることで成功の可能性は上がる」と自信をのぞかせた。EC事業のスタートは早ければ4月を予定。中国のリアル店舗でのスタートはもう少し時間がかかる見込みで、業績にどこまで寄与するか未知数だ。想定する将来的な売上に占める海外事業の構成比は、「今の段階では見当もつかない」(大塚久美子社長)と語った。

 業務・資本提携の発表にこぎ着け、ひと息ついた格好の大塚家具だが、今期(2019年12月期)の業績予想(通期)は、不確定な要素があるため開示していない。4期連続の赤字は是が非でも避けたいところだが、黒字化のめどは「慎重に精査している」と述べるにとどめた。海外展開と同時に、足元の業績回復も大きな課題だ。
 大塚久美子社長は「これまで日本の家具が輸出されることはほとんどなかった。海外事業は当社にとって良いチャレンジになる」と期待を示した。業務・資本提携を通じ、当面の資金調達はヤマ場を越えた。今後、海外事業に舵を切る同社の動向が多方面から注目されている。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年2月19日号掲載「取材の周辺」を再編集)

 TSR情報とは

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ