• TSRデータインサイト

行政処分や延滞が多発のソーシャルレンディング 顧客保護のルール作りが急務

 お金を運用したい個人投資家と資金需要がある企業をマッチングするソーシャルレンディング(SL)。ところが、ファンドの利払い延滞が多発し、未熟な管理態勢や虚偽表示などで行政処分を受けるケースも目立つ。
業界最大手のmaneoマーケット(株)(TSR企業コード:297202863)が募集したファンドでも元本総額200億円超の利払いの延滞が発生し、他のSL業者でもファンドの延滞が起きている。

この2年間で、(株)みんなのクレジット(現・(株)スカイキャピタル、TSR企業コード:014882639)、ラッキーバンク・インベストメント(株)(TSR企業コード:300559828)、maneoマーケットなど、SL業者6社が相次いで金融庁から虚偽表示や投資者保護などの法令違反で行政処分を受けた。行政処分が相次いだ仮想通貨交換業者と同様、SL業者も金融の仕組みのルールを逸脱し、行政処分が多発している。
貸金業登録の制度上、SL業者は借り手の特定につながる情報を非開示とし、投資家は不十分な情報で投資している。金融庁などは投資家被害が生じる悪質な事例があり、借り手情報の公開などを検討している。SL業者は透明性の高い制度作りに、積極的に取り組むことが必要だろう。
ある投資家は、「仮想通貨と同じ状況」と話す。投資家から資金を集めて急成長した後、問題が発生し投資家が被害を受けるケースが仮想通貨交換業者で目立っていた。この構図はSL業者も同じで、誤解や虚偽表示が多い。
ラッキーバンク・インベストメントは金融庁の行政処分で、「投資判断に重要な判断を及ぼすと認められる担保評価について、誤解させる表示を行った」と認定された。
1月21日、虚偽説明で損害を受けたとして、投資家が東京地裁にラッキーバンク・インベストメントを提訴する事態に発展した。同社は東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、「コメントすることはございません」と述べた。

業界最大手のmaneoマーケットの動きは

 maneoマーケットの担当者がTSRの取材に応じた。担当者は、「業務改善計画に沿って、粛々と改善項目を実施している」と管理態勢の強化を説明した。また、ファンド募集で表示している不動産担保の評価については、「業者ヒアリングなど総合的に判断している。表記のあり方など見直しや改善を重ねていくことも必要だ」とコメントした。
利払いが延滞しているファンド資金の回収については、「スピードと回収額などを比較、考慮したうえで、営業者と協議しながら臨機応変に対応していく」と述べた。

延滞したSL業者のファンドの一部は、「借り換え」ができず、返済が滞ったというケースもある。借り手が「借り換え」に頼る資金調達のスキームは、客観的に見れば「ポンジスキーム」と言われても仕方がない。
SL業者のファンド募集に関する情報開示や投資先の返済が滞った場合の回収方法など、さらなる投資家保護に向けたルール作りが必要だ。業界最大手のmaneoマーケットが取り組む管理態勢の強化は、今後の業界の一つの指針になるかもしれない。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年1月31日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の全東信、20年前から粉飾決算か=600億円超の債務超過のおそれ

決済代行を手掛けていた(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪市中央区)の破産劇の裏側がわかってきた。東京商工リサーチ(TSR)の取材で、業績悪化を隠すために、多額の預金の架空計上に手を染めていた実態がみえてきた。

2

  • TSRデータインサイト

全東信の破産、焦付不可避と機会損失 ~外食団体、「セーフティネット保証1号」適用を要請~

クレジットカード決済代行を手掛けていた(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪市中央区)の破産の余波が広がっている。7月6日に負債1,259億円(2025年3月期決算時点)を抱え、大阪地裁から破産開始決定を受けて以降、取引金融機関が取り立て不能等を次々と開示している。

3

  • TSRデータインサイト

全東信の粉飾、資本と営業権と不動産から読み解く

大手決済代行の(株)全東信の粉飾は見抜けたのか。破産したいま、過去の決算書を基に違和感を指摘するのは難しくない。預金残高の水増しや債権の架空計上など、全東信はありきたりの手口に手を染めていた。

4

  • TSRデータインサイト

準自己破産の全東信、近畿産業信組が219億円貸出

大手決済代行の(株)全東信(TSRコード:575448075、大阪府)の資金調達先が東京商工リサーチ(TSR)の取材で判明した。

5

  • TSRデータインサイト

止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く ~ 施工力が「希少資源」、動き始めた内製化 ~

2025年の建設業の倒産は、2,014件(前年比4.6%増)で、4年連続で前年を上回り、2013年(2,421件)以来、12年ぶりに2,000件を超えた。 コロナ禍の2021年に1,065件と2000年以降では最少を記録。その後は増勢に転じ、わずか4年で約2倍に増加した。

TOPへ