• TSRデータインサイト

「かぼちゃの馬車」建築のホーメストが破産、注目されるオーナーへの訴訟の行方

 11月27日、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の建築を請け負っていた(株)ホーメスト(TSR企業コード:297208608、東京都)が東京地裁に破産申請した。負債総額は2018年3月期で9億1,175万円。
(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、東京都)が展開していた「かぼちゃの馬車」の建築工事を数多く手がけていた。工事の請負契約はシェアハウスオーナーとホーメストで交わされ、完成したシェアハウスのサブリース契約はオーナーとスマートデイズで結ばれる。ところが、2018年1月、スマートデイズが契約していたサブリース賃料を支払えないことをオーナーへ通知したため、オーナーはホーメストへの工事代金支払いを一部止めていた。
これに対しホーメストは、オーナーに「スマートデイズと貴殿の間の契約に関する法的問題の有無にかかわらず、貴殿は本件工事請負契約の工事代金債務を履行する義務があります」と記載した「ご入金のお願い」を送付。その後、工事代金の支払いを求めて一部オーナーを提訴していた。
10月26日、東京地裁で開かれた口頭弁論で、オーナー側はホーメストとスマートデイズの間でキックバックを目的とした業務委託契約が締結され、適正価格を逸脱した工事請負契約がなされたとして、「詐欺取消」を主張。また、スマートデイズのサブリース契約や販売会社による土地売買、建築会社の工事契約などが一体で構成される「シェアハウスビジネスの詐欺的スキーム」に加担したとして、ホーメストへの損害賠償請求も辞さない構えをみせていた。
次回の弁論は2019年1月に開かれる予定だったが、ホーメストの破産申請で裁判は中断し、破産管財人が引き継ぐことになる。オーナー側代理人の谷合周三弁護士(谷合周三法律事務所)は、「今後の破産管財人の調査で、ホーメストとスマートデイズのキックバックにかかわる内部資料が明らかになることが期待される」と話す。
シェアハウス問題では、ホーメスト以外にもオーナーに工事代金の支払いを求める提訴に踏み切ったり、仲裁を申し立てている業者が複数ある。ホーメストの破産が、今後のシェアハウス問題にどのように影響するか注目されている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年11月29日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)


 TSR情報とは

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「退職代行」からの連絡、企業の3割取り合わず 有給や退職日の交渉などの通知を3割が経験

ことし2月、大手退職代行サービスの代表らが弁護士法違反の疑いで逮捕された。4月に入り、退職代行の話題も出始めたが、弁護士や労働組合以外の「退職代行」業者から連絡があっても、3割(30.4%)の企業が非弁行為が含まれる可能性があり、取り合わないことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

「マッサージ業」の倒産が過去30年で最多の108件 大手チェーン、リラクゼーション店と競合激化

店舗乱立による過当競争や光熱費、人件費の上昇で「マッサージ業(療術業)」の倒産が増勢をたどっている。 2025年度に倒産した「マッサージ業」は、1996年度以降の30年間で最多だった2019年度の98件を抜き、過去最多の108件(前年度比14.8%増)に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の「医療機関」倒産 20年で最多の71件 クリニック・歯科医院の淘汰が加速、「破産」が97%超

2025年度に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院を合計した「医療機関」は、71件(前年度比20.3%増)だった。2006年度以降の20年間では、2024年度の59件を大幅に上回り、最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

「士業」の倒産、2年連続最多

「士業」の倒産が目立ってきた。給付金の不正受給の指南や、顧客から預かった資金の流用など、近年はコンプライアンス違反が原因で倒産するケースも目立つ。

5

  • TSRデータインサイト

食品メーカー 売上高は値上げで24兆円に 利益は物価高に値上げが追い付かず二極化

肉・魚加工や菓子類などの「食品メーカー」4,994社の2025年の業績は、売上高24兆2,824億円(前年比3.4%増)、利益は8,806億円(同9.5%減)だった。コロナ禍以降の5年間で売上高は最高を記録した。ただ、利益はコスト上昇で減益の構図が鮮明となった。

TOPへ