• TSRデータインサイト

大塚家具 抜本的な立て直し計画が未公表、最大80%OFFの「在庫一掃SALE」

 経営再建を模索する(株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、江東区、大塚久美子社長)の周辺が騒がしくなってきた。
高級家具のイメージを誇った大塚家具は、ついに10月28日まで最大80%OFFの「在庫一掃SALE」に踏み切った。
大塚家具は8月7日、抜本的な立て直し策の「新たな計画を策定中」と発表したが、2カ月を過ぎても具体的な計画の公表はない。2018年12月期の期末配当予想も未定のまま。
さらに、大塚家具で注目されるのが減り続ける現預金だ。2015年12月末に109億7,182万円あった現預金は、2018年6月末で22億514万円まで減少した。資金の枯渇は目前だ。そんな憶測が広まる中、2018年12月期第3四半期中に約10億円の投資有価証券を売却したようだ。在庫一掃SALEは、資金確保の窮余の一策とも受け取られかねない。
大塚家具によると、複数の金融機関と締結した50億円枠のコミットメントライン契約は「今も継続している」(広報担当者)という。
大塚家具を信じ、取引を継続する家具メーカー。大塚ブランドの重みを大切にする顧客、株主も多い。だが、ここに至っても資金繰り状況や将来ビジョンを示せない大塚家具のブランド力は根底から揺らぎ始めている。


大塚家具新宿ショールーム

「在庫一掃SALE」の後は…

 2018年6月末の商品在庫は115億7,285万円に達した。そして、9月28日から10月28日まで実施の「在庫一掃SALE」。背に腹を変えられぬ在庫圧縮と現金獲得を同時に実現できるか、大塚家具にとって意味は軽くない。
2018年12月期中間決算で商品の評価基準を見直し、たな卸資産評価損を計上。これで展示品など在庫商品の値引販売がしやすい環境はできた。
破格セールで来店客数は大幅に増えているようだ。連休中の10月7日、有明ショールームを訪れると大塚久美子社長が自ら接客する姿が目に入り、意気込みが伝わってきた。
これで2017年8月から今年9月まで14ヵ月も続く店舗売上の前年同月割れに歯止めがかかるのか。「在庫一掃SALE」が起爆剤になるのか。10月の売上が試金石になるだろう。

赤字の業績予想

 大塚家具の2018年12月期第3四半期(7-9月期)は、11月14日に開示を予定している。店舗売上高は7月(前年同月比73.4%)、8月(同78.5%)、9月(同87.9%)と落ち込み、特に応接やダイニング関連が不振という。
2018年12月期中間決算で下方修正した同期の通期計画は、売上高376億3,400万円(前期比8.4%減)、営業利益マイナス51億円、経常利益マイナス52億円、当期純利益マイナス34億2,600万円と、赤字を前提にしている。それでも業績予想の実現には、赤字でも「在庫一掃SALE」に取り組まざるを得なかったのかも知れない。

「資本増強や事業シナジーを生む業務提携について様々な選択肢を多面的に検討している」(大塚家具の担当者)。様々な支援先の名前も飛び出すが、情報開示の姿勢は見られない。
手元資金が減少し、頼みの投資有価証券も底が見え始めた。じわじわと迫る時間との勝負を前に、次の一手は何が残されているのか。大塚久美子社長の真価が問われている


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年10月11日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

政策金利引き上げ 「1年は現状維持」が59.6% すでに「上昇」が52.0%、借入金利は上昇局面に

企業の59.6%が、これ以上の政策金利の引き上げに「待った!」を希望していることがわかった。今後の望ましい政策金利の引き上げ時期は、「向こう1年は現状維持」が59.6%で最多だった。「引き下げ」も23.6%あり、企業経営の観点では利上げを望む声は少数(16.6%)にとどまった。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の12.2%が事業資金を個人名義で調達 保証債務に上乗せ負担、債務整理や廃業を複雑に

事業資金を代表者名義で調達したことのある中小企業は12.2%に達することがわかった。政府や金融界は「経営者保証ガイドライン」(適用開始2014年2月)や「事業再生ガイドライン」(同2022年4月)などを通じ、企業が抱える債務を整理する際に個人保証が足かせにならないよう取り組んでいる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年「早期・希望退職募集」は 1万7,875人 、リーマン・ショック以降で3番目の高水準に

2025年の「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は43社(前年57社)で、募集人数は1万7,875人(同78.5%増)に達したことがわかった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年7-9月の客室単価 1万6,975円 稼働率80%超え 人手不足の解消が課題

ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年7-9月期の平均客室単価は、1万6,975円(前年同期比8.9%増)で前年同期を上回った。7-9月期で、13ブランドの平均が前年を上回るのは3年連続。平均稼働率は83.9%で前年同期を2.9ポイント上回り、 稼働率も3年連続で上昇している。

5

  • TSRデータインサイト

【最新決算】 私立大学、半数以上が赤字に転落 売上高トップは順天堂、利益トップは帝京大学

全国の私立大学を経営する545法人のうち、半数を超える287法人が直近の2025年3月期決算で赤字だったことがわかった。  

TOPへ