• TSRデータインサイト

「マジックバルブ」販売元のラブロス(東京)、本社を退去

 新聞やテレビ等で紹介され話題になったLED電球「マジックバルブ パっと!」(以下、マジックバルブ)の販売元である(株)ラブロス(TSR企業コード:294227989、東京都)と連絡が取れない状態が続いている。取引先の一部に対する債務の支払いが遅延しているとの話も聞かれる。ラブロスの取引先の一社は東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、詳細はわからないとした上で「今年に入り事業を停止している。社長は別会社を設立し、事業を始めているようだ」と話す。
ラブロスの金山和男社長は、かつて東京・秋葉原を拠点にパソコン、パーツショップ「T・ZONE」を全国展開していた(株)亜土電子工業(現・(株)MAGねっとホールディングス、TSR企業コード:291431275、東京都)の創業者。金山社長はT・ZONEを国内に約30カ所、海外に10カ所ほどを展開したが、業績不振から1999年に社長を辞任している。
その後、2000年にラブロスを設立すると停電時に自動点灯するLED電球「マジックバルブ」を開発。これが2011年の東日本大震災で災害時に役立つと評判になり、マスコミ取材が殺到した。新聞や雑誌、テレビなどで取り上げられ、2012年3月期の売上高は約5億4100万円に拡大していた。
ところが、その後も新商品を次々に発表するも尻すぼみで、近年は赤字が散見される厳しい経営から抜け出せずにいた。取引先によるとマジックバルブに続く商品として期待された直管LED「マジックチューブ」は、相当数の余剰在庫を抱えていたという。このため2016年にニュー秋葉原センター内の直営店を閉鎖し、インターネット通販で営業を続けていた。
9月26日、ラブロス本社を訪問したが、すでに別のテナントが入居していた。関係筋によると今年3月頃に事務所を撤退したという。TSRは金山社長に取材を申し込んでいるが、10月3日までに連絡はなかった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年10月5日号に掲載予定「SPOT情報」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ