• TSRデータインサイト

追跡第9弾! ケフィア 現金がわずか5,500万円、かぶちゃん農園の責任追求へ

 9月3日、(株)ケフィア事業振興会(TSR企業コード:298080745、以下ケフィア)と関連3社が、負債総額1,053億3,706万円を抱えて東京地裁から破産開始決定を受けた。4社の債権者数は3万3,747名に及ぶ。
 ケフィアの破産申立書によると、2018年6月末時点の資産簿価は484億448万円。現預金は5,477万円しかなかった。「柿」などの商品在庫額も3,252万円にすぎない。
 残りの資産は、かぶちゃん農園(株)(TSR企業コード:296009326、長野県)などグループ向け売掛金(約26億円)、貸付金(約248億円)のほか、「商標権」が約19億円。「顧客情報」も資産として約47億円を計上していた。
 こうした資産の大半は回収が困難とみられる。だが、ケフィアはホームページに決算書の要旨しか掲載せず、会員を安心させていた。

破産の告示書をみる会員(ケフィア本社、9月撮影)

破産の告示書をみる会員(ケフィア本社、9月撮影)

破産に至った原因

 破産申立書には、システム移行に伴う支払遅延のトラブル急増と、「東京商工リサーチ等により、申立人に関する記事が立て続けに掲載され」、などと原因を記載している。
 同時に、ケフィアグループ被害対策弁護団が入金用口座の一部を凍結し資金繰りが逼迫したとしている。新規の入金がなければオーナー制度などの支払いができない自転車操業だったことを、自ら明らかにした格好だ。
 いずれも自ら招いた無責任な会員への対応が原因で、最後まで責任転嫁に終始している。

かぶちゃん農園が外れたケフィアグループ

 ケフィアの破産申立書にはケフィアグループとして45社(今年6月20日時点)が記載されている。だが、6月時点のケフィアのホームページにグループ会社として掲載されていた「かぶちゃん農園」など一部企業が、申立書にはケフィアグループとして記載されていない。
 申立書に記載されなかったのは、ケフィアの鏑木秀彌社長の息子である鏑木武弥氏が代表を務める会社が大半だ。鏑木武弥氏は、ケフィアと同時に破産したかぶちゃんメガソーラー(株)(TSR企業コード:298206870、長野市)の代表を破産直前の今年7月25日に辞任している。申立書記載の45社のうち、鏑木武弥氏が代表を務める会社は2社にとどまる。
 表裏一体の関係である「かぶちゃん農園」や鏑木武弥氏の責任を破産管財人などが追及していくとみられる。


 ケフィアグループ被害対策弁護団は、「ケフィア代表の鏑木秀彌氏や息子の武弥氏、かぶちゃん農園などのグループ会社は破産を申請しておらず、資産の隠匿が強く懸念される」と指摘する。今年6月末時点で、かぶちゃん農園にはケフィアに10億円を超える未払い広告料が残っている。かぶちゃん農園など、グループ会社と資金の流れの解明が急務になっている。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年9月6日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「早期・希望退職」募集人数は8,711人で前年2倍に急増、相次ぐ大型募集

 2025年1月-5月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は19社(前年同期27社)で、前年同期より約3割(29.6%減)減少した。しかし、大手メーカーの大型募集が相次ぎ、対象人員は、8,711人(前年同期4,654人)と前年同期の約2倍(87.1%増)に急増した。

2

  • TSRデータインサイト

脱毛サロン・ミュゼプラチナム、新体制と「未消化役務」 ~ 運営会社MPH・高橋英樹社長 単独インタビュー ~

従業員給与の遅延、経営混乱などで動向が注目されるMPHの高橋英樹社長と関係者に、東京商工リサーチ(TSR)は単独取材をした(取材日は5月1日)。

3

  • TSRデータインサイト

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」、債権者が破産申し立てへ

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH(株)(登記上:大田区)に対して、債権者が破産を申し立てる準備に入っていることが5月15日、わかった。 

4

  • TSRデータインサイト

全店休業のミュゼプラチナム、「新生ミュゼ」構想が判明 ~ 運営会社MPH・三原孔明氏インタビュー ~

運営会社や株主がたびたび変更されるなか、脱毛サロン・ミュゼプラチナムに注目が集まっている。ミュゼプラチナムは現在、MPH(株)(TSRコード:036547190、東京都港区)が運営している。だが、

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ