• TSRデータインサイト

有名ラーメン店のスープや麺をそのまま冷凍 「宅麺.com」が好調

 お店の前に長い行列――。並んででも食べたくなる名店の味。ラーメンも例外ではない。

グルメには行列も味の一つかも知れないが、その常識を覆したベンチャー企業がある。
全国の有名ラーメン店のスープと麺をそのまま冷凍。そんなグルメたちの夢をインターネット通販で実現したのがグルメイノベーション(株)(TSR企業コード:298357232、新宿区、井上琢磨社長)だ。運営する通販サイト「宅麺.com」は1年間で15万杯を販売した。
「宅麺.com」は、チャーシューなど具材が入ったスープと麺をクール便で届ける。スープを湯煎し、麺は茹でるだけ。自宅で手軽に名店の味を楽しめる。
同社の井上社長はサイバーエージェントでマーケティングを手掛けていた。「お店に行きたいけど行けない潜在的な需要がある」と市場の広がりに意気込みを語る。

グルメイノベーション井上社長

グルメイノベーション(株)井上社長

人気ラーメン店に通い続け、信頼を獲得

 職人の腕や研究成果のスープや麺。人気店の「魂」をグルメイノベーションが販売するまでには、ラーメン店との信頼が必要だった。
マーケティングのノウハウを持つ井上社長だが、信頼を得るための戦略は人気ラーメン店に通い続けて説得する地道な営業だった。
ラーメン店も「宅麺.com」にスープや麺を提供するとお店のPRになる。お店と顧客の信頼を積み重ねて、注文は増え続けている。
泥臭い営業と人気キャラクターとのコラボなどのマーケティングに加え、有名店の参加も増えたことから設立5年目で黒字化した。
現在、「宅麺.com」が扱うラーメン店は約150店。会員数は約10万人に増えた。2018年3月期の売上高は前期比12.7%増の1億9,454万円と成長を続けている。

宅麺.comから届いた「らーめんバリ男」(筆者が調理・撮影)

宅麺.comから届いた「らーめんバリ男」(筆者が調理・撮影)

 海外にも進出を果たした井上社長は「日本のラーメン店の味を提供し、海外のファンが日本のラーメン店を訪れるとインバウンドにも繋がる」と語る。夢は尽きない。
発想の転換で切り開いた市場は広がり続けている。自宅で全国の有名ラーメン店の味を楽しむ。最高の贅沢がかなう時代が到来した。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年8月27日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)


 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ