• TSRデータインサイト

輸入家具販売のアイデックが破産へ

 200年の歴史を誇る世界的な家具メーカー、THONET社(ドイツ)の国内販売代理店として知られる(株)アイデック(TSR企業コード:291491855、渋谷区)が8月1日、突然ホームページで廃業したことを公表した。すでに連絡は取れず、8月1日朝から東京商工リサーチ(TSR)に取引先からの問い合わせが多く寄せられていた。その後の取材で破産手続きを井上玲子弁護士(大空法律事務所、東京都港区)に一任していることがわかった。
 アイデックは、THONET(トーネット)社を中心に、ヨーロッパ家具の輸入を手がけ、半製品を小山工場(静岡県)で組み立て自社ブランドでの販売も行っていた。
 1997年8月期の売上高は29億1,100万円を計上し、外食産業向けの販売が好調に推移していた。その後、深刻な消費低迷と為替変動の影響で業績が悪化。2011年8月期の売上高は9億6,100万円に落ち込み、当期純利益は約1億円の赤字を計上していた。このため、販売体制の強化を急いだが業績不振から抜け出せず、2017年8月期の売上高は9億6,500万円にとどまり、赤字経営が続いていた。

 8月1日、アイデック本社のドアには「7月31日をもちまして閉店することになりました。大変ご迷惑をおかけしていることを心から謝罪いたします」と書かれた紙が張り出されていた。本社事務所の電気は消え、社員の姿もない。ただ、従業員のものとみられるジャケットがハンガーに掛けられたままで、慌てて閉鎖した様子がうかがえる。同日、大阪営業所を訪ねると、貼り紙などは何もないものの、入口シャッターは閉まり呼びかけに応答はなかった。
 関係者によると、「前日まで普通に営業していた。今朝、真っ暗ななか貼り紙を見つけて鳥肌がたった」と驚きを隠さなかった。また、別の取引先は、「突然、連絡が取れなくなり困っている」と困惑した顔で話している。

アイデック本社の貼り紙(8月1日撮影)

アイデック本社の貼り紙(8月1日撮影)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ