• TSRデータインサイト

民事再生のヤバネスポーツ、「主要取引先からの与信枠の縮小」が引き金

 7月12日に東京地裁に民事再生法の適用を申請したヤバネスポーツ(株)(TSR企業コード:291015131、台東区、村川泰光社長)の債権者説明会が7月18日午後2時より、都内で開催された。会社側から村川社長のほか、申請代理人の橋本芳則弁護士(金子・中・橋本法律特許事務所)が出席。オブザーバーとして監督委員の大西裕弁護士(丸市綜合法律事務所)、債権者は約200名が参加した。
冒頭、村川社長が民事再生法申請を謝罪。その後、申請代理人より再生手続きの概要や申請の経緯、再建方針などの説明があり、質疑応答を経て午後2時50分に散会した。

民事再生に至った経緯(要旨)

 2008年7月期以降、売上が下降した。リストラを図る一方で事業規模を縮小し、黒字を維持してきたが、抜本改善には至らなかった。今年4月、主要取引先の1社から、当社の脆弱な財務に懸念があるとして将来的に取引量を担保範囲内にとどめるよう与信枠の縮小要請を受けた。従来は保証金を差し入れるとともに商品在庫に対する譲渡担保を設定した上で与信取引してきた。これを受け、主要取引銀行に追加融資と例年8月に行われる短期資金融資を依頼したが、これ以上の融資は難しいと回答され、融資実行の条件として2018年7月期決算が黒字見込みとなり、主要取引先が債権保全方針を撤回することが伝えられた。当社は主要取引先に従来通りの取引条件を要請し、取引銀行に8月の短期融資実行を依頼したがいずれも事態は改善せず、資金繰りが限界に達した。

再建方針、当面の資金繰りは....

 基本路線としてはスポンサー型による再生を目指す。ファイナンシャルアドバイザーに山田コンサルティンググループ(株)(TSR企業コード:293181233、千代田区)を選定し、既に入札準備に取りかかっている。申請代理人によると、「複数が興味を示している旨を聞いており、8月中には正式なスポンサー契約を締結する予定」という。
また、当面の資金繰りは、「三井住友銀行から3億~5億円のDIPファイナンスの枠を付けてもらう話も前向きに検討頂いており、問題ないと考えている」(申請代理人)。

主な質疑応答

Q.スポンサー選定のターゲットや方針、売却金額は?
A.広く募集しており、対象に制限はない。金額は候補者の中から相対的に判断することになる。
Q.少額債権の弁済予定は?
A.現時点では決まっていない。スポンサー次第となるだろう。傾斜弁済についてもこれから前向きに検討する。
Q.譲渡担保設定されている主要取引先の商品在庫の現状は?
A.納品のために出荷することを(主要取引先に)依頼している。話が固まっているわけではないが徐々に出荷ができると考えている。譲渡担保は付いているが、商売のなかで通常通り取り扱わせてほしいと依頼している。
Q.現状保有している資金は?
A.7月20日の見込み残高で1億5,000万円~2億円の手元資金を確保できている。

説明会会場の案内

説明会会場の案内

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年7月20日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

 TSR情報とは

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ