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「平成30年7月豪雨」 被災地域に企業は17万2,128社

 西日本を中心に降り続いた記録的な豪雨は、広島県や岡山県、愛媛県など各地で多数の死者・行方不明者を出し、深刻な被害をもたらした。
東京商工リサーチは、保有する企業データベース(約480万社)から「平成30年7月豪雨」の被災地域、8府県58市36町4村に本社を置く企業を調査した。
被災地域に本社を置く企業は17万2,128社で、最も多い産業は「サービス業他」の5万9,000社(構成比34.2%)だった。このうち、資本金1億円未満(個人企業含む)の企業が17万854社と全体の99.2%を占めた。また、従業員数は175万1,534人で、このうち自治体や大手企業を除く、資本金1億円未満の企業では127万4,391人に達している。
広範囲に甚大な被害が及び、水や電気などのライフライン、物流の復旧に時間がかかる見通しだが、操業再開の時間が長引くと企業経営だけでなく、雇用にも影響が及ぶ可能性が出てきた。

  • ※東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データベース(約480万社)のうち、被災地域に実質本社を置き、消滅型倒産(破産、特別清算等)、休廃業・解散を除いた生存企業を抽出、分析した。
  • ※被災地域は7月9日、内閣府(防災担当)が発表した「平成30年台風第7号及び前線等に伴う大雨による災害にかかる災害救助法の適用について【第9報】」に基づく。

分析対象は「災害救助法適用」地域

 今回の分析対象は、「平成30年7月豪雨」で災害救助法の適用対象とされた地域。7月9日時点で、岡山県倉敷市や愛媛県宇和島市など、西日本を中心に8府県58市36町4村を対象にした。

産業別、「サービス業他」が最多

 被災地域に本社を置く17万2,128社のうち、産業別で最多は「サービス業他」の5万9,000社(構成比34.2%)だった。次いで、建設業の3万6,517社(同21.2%)、小売業の2万1,176社(同12.3%)、製造業の1万8,378社(同10.6%)と続く。
人的被害が大きかった広島県、岡山県、愛媛県の3県では、愛媛県は「サービス業他」の構成比が29.4%と、唯一30%を切っている。一方、製造業は12.7%(8,124社中1,034社)に上り、ほかの2県を3ポイントほど上回った。
金融・保険業は、3県とも構成比は約1%の水準だった。

「平成30年7月豪雨」災害救助法適用地企業 産業別

業種別ランキング、「総合工事業」が最多

 産業を細分化した業種別で、被災地域に本社を置く17万2,128社のうち、最多は「総合建設業」の1万6,810社(構成比9.7%)。被災地の復興、復旧工事に必要な建設機械などを持つ建設業の被災は大きな痛手になっている。次いで、とびや板金、塗装工事など「職別工事業」の1万1,207社(同6.5%)、病院や診療所、歯科などが含まれる「医療業」の9,567社(同5.5%)と続く。
業種別トップ15では、小売業や飲食業など、一般消費者を対象とする企業も多い。
被災地域までの物流の混乱は、コンビニやスーパーなど、消費者に密接な商品を扱う店舗で日ごとに影響が広がっている可能性がある。

資本金別、1億円未満(個人企業他含む)が99.2%を占める

 17万2,128社を資本金別でみると、最多は「100万円以上1,000万円未満」の7万3,279社(構成比42.5%)だった。次いで、「個人企業他」の4万3,767社(同25.4%)、「1,000万円以上5,000万円未満」の4万2,409社(同24.6%)。
「個人企業他」を含む資本金1億円未満の企業は17万854社(同99.2%)に上っており、被災地域に本社を置く企業は、中小・零細規模が多いことがわかった。

「平成30年7月豪雨」災害救助法適用地企業 資本金別

 「平成30年7月豪雨」で、日本酒「獺祭」製造の旭酒造(株)(TSR企業コード:750077158、山口県岩国市)の蔵、直売所が床上浸水の被害を受けた。製造再開には2カ月以上を要す可能性もあるという。被害全体の実情はまだ判明しないが地域経済への影響は広がる可能性もある。
今回の調査で、被災地域に本社を置く企業は17万2,128社あることがわかった。中小・零細企業が中心で、建設業が3万6,517社、製造業が1万8,378社と、地元経済に密着した企業が多い。
旭酒造は日本酒製造の「最終工程」まで手掛けるメーカーだ。一方で、被災した企業には半製品や部材の加工メーカーなどが多く含まれる。国内製造業は分業体制を敷いており、サプライチェーンは全国津々浦々に張り巡らされている。東日本大震災の時に浮上した物流インフラの復旧の遅れが、様々な業種に影響を及ぼしたが、今回も被災地域に事業拠点のない企業の生産計画に影響することが懸念される。
同時に、個々の企業規模は小さくても、資本金1億円未満の企業の従業員総数は100万人を超えており、地域への影響は決して無視できない。
「平成30年7月豪雨」への支援策は、緊急避難的には直接被災した企業が中心となるが、被災企業と取引のある企業など、間接的な影響まで含めたプッシュ型の支援策が急務になっている。

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