• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

GC注記企業の変調相次ぐ

 東証1部上場の海洋掘削専門企業、日本海洋掘削(株)(TSR企業コード:290382459、中央区)が6月22日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。同社は2018年3月期決算で454億円の最終赤字を計上。債務超過に転落し、金融機関との間で締結していた財務制限条項に抵触。「継続企業の前提に関する注記」(GC注記)が記載されていた。

 日本海洋掘削以外にもGC注記企業の変調が相次いでいる。2018年3月期に債務超過(単体)に転落した電子機器メーカー、田淵電機(株)(TSR企業コード:570115531、大阪市淀川区、東証1部)は6月25日、事業再生ADR 手続を申請した。事業再生ADRは法的整理手続と異なり一般債権者の商取引債権は対象債権に含まれない。今後は金融機関に元本返済の一時停止などを要請し、金融機関の合意を得て再生計画案の策定を目指していく。

ソルガムジャパンHD、21LADYも

 さらにGC注記企業には、内部統制や企業統治に不安を抱える企業も散見される。
 有価証券報告書の一部虚偽記載の疑いで証券取引等監視委員会から強制調査を受けた(株)ソルガム・ジャパン・ホールディングス(TSR企業コード:291317502、品川区、JASDAQ)は6月27日、2018年3月期の有価証券報告書の提出が金融商品取引法に定める7月2日までに提出できず監理銘柄(確認中)に指定された。法定提出期限の1カ月以内(8月2日)に有価証券報告書を提出できなければ整理銘柄に指定され、上場廃止となる。
 洋菓子「ヒロタ」などを運営する21LADY(株)(TSR企業コード:294229760、千代田区、セントレックス)は6月27日開催の株主総会で社長が事実上解任される事態が発生、経営の混乱が表面化した。

上場企業倒産のGC注記率はほぼ100%

 2010年以降、倒産した上場企業は28社。このうち直近決算でGC注記を記載していたのは25社にのぼる。記載がなかった3社は粉飾などの発覚で決算発表ができないまま倒産に至ったケースが中心。このため上場企業の倒産は、GC注記率が事実上100%といえる。
 上場企業は好決算が相次いでいるだけに、GC注記企業との格差が鮮明になっている。
 6月末時点でGC注記企業は29社。新興市場が中心だが、東証1部、2部上場や知名度の高い企業もある。深刻な経営不振にどう対処するのか、引き続き動向が注目される。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年7月5日号にGC注記企業リストを掲載予定)


 TSR情報とは

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ